SASUKE

久しぶりに岩本の家に行く。トレーニングしていいか？と聞く。

見てるからと言いながら、ちょっと寂しい。

１時間くらいして、今日はここまで、と言う。

シャワー浴びてくると言って風呂場に消える。

もう熱い夜を過ごさなくなってどれくらいだろう。

不安が佐久間を襲う。

ただ抱きしめてくれるだけでいいのに。

優しいキスをしてくれるだけでいいのに。

岩本ーふぅ〜さっぱりした。

佐久間ー俺、そろそろ帰るよ。

岩本ーそうか？

佐久間ートレーニングで、身体痛めないように。

岩本ーおぅ。

佐久間ーじゃあまたね。

岩本ーあぁ、また。

閉めたドアにもたれ、ため息を吐く。

引き止めなくてもいい、キスの１つくらいしてくれてもいいのに。

涙が滲んでくる。

電話をかける。相手は渡辺。

家に来てから帰るまでを話す。

渡辺ー何だそれ？

佐久間ーSASUKEしか頭にないみたい。

渡辺ーだからって！

佐久間ー抱きしめてもくれないし、キスもしてくれないし、俺、トレーニング見てただけ。

渡辺ー照に言ってやろうか？

佐久間ーいい、今は大事な時だから。

渡辺ーお前、それでいいなら、俺に電話してこないよな？

佐久間ーあぁ、ごめん、愚痴だから。

渡辺ー寂しいって言えよ。

佐久間ー言えない。

渡辺ー俺、お節介だからな。

佐久間ー何？

渡辺ーまぁ、待ってろ。

佐久間ー翔太！

言った相手が悪かった。

きっと、怒ってる。

渡辺ーというわけだ。

目黒ー佐久間くんが可哀想だけど、岩本くんも今はSASUKEのことで頭いっぱいだし。

渡辺ーだからって、恋人を蔑ろにしていいわけない。

目黒ー翔太くんは、どうしたいの？

渡辺ー照に言う。

目黒ーなんて？

渡辺ー佐久間に寂しい思いさせるなって。

目黒ーそれ以上言ったらダメだよ？

渡辺ー分かってる。

本当に分かっているのだろうか？

怒る渡辺を抱きしめて、目黒は岩本を思う。

この人は怒ると怖いから。

抱きしめて背中を撫でてると、大きな息を吐く。

ちょっとは落ち着いたみたいだ。