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今年の新人グールは多いらしい。
俺を含めて5人もいんだとか。
チャラそうな白髪と銀髪2人組、スマホを弄ってる黒髪1人、何か機械っぽいのをいじってる銀髪1人。で、俺。
「しょーちゃんこれダサ~い」
チャラそうな銀髪が白髪に不満そうな声を掛けた。
「んなこと言われてもよぉ……ほら、あと数分で呼ばれんだろ?それまでの辛抱だろ」
「そんな何分も待ってらんないんだけどー?」
そんな2人組の会話が途切れた時ちょうど、理事長からの合図が出た。
「行きましょうか」
「此奴等と同じ寮にだけはなりたくねぇ……」
各々が思うことを呟きながら指定された場所へ着く。
すれば、誰に言われた訳でもなく、機械を弄っていた銀髪から一言挨拶が入った。
「今年度より特別選抜寮生として、このダークウィックアカデミーに入学します、針条律です」
「では、こちらのマネキンの手を取って、心の中で学園生活への抱負を立ててください♪」
銀髪────針条が、壇上に立つマネキンの手を取り目を伏せる。
すると、針条の羽織る黒いローブから光が溢れ、それを脱いだ瞬間、
「……っ!?」
針条は、赤いジャケットを羽織った姿に変わっていた。
「おめでとうございます!貴方は『シノストラ』に決まりました!」
会場にどよめきが起こる。 儀式が成功したようだ。
だが、1人はそれを否定する。
「私が、フロストハイムではない……?何かの間違いでは?」
本人である針条が、不満を零した。
直ぐ理事長に抑えられたが。
「次の方、どうぞ♪」
理事長に呼ばれ、今度は2人組の方の銀髪が、歩きスマホをしながら壇上に上がった。
「玲音で~す。はい、握手」
淡白な一言でマネキンに触れようとする。
「ちょっと待ってください!ちゃんと自己紹介して、一呼吸おかないとっ!」
「だる……」
「黒鷺玲音、抱負は世界平和。はい、握手」
針条の時と同じようにすれば、チャラい銀髪────黒鷺は、黄色のワンポイントが入ったスカジャンを羽織った姿になっていた。
「も~~~!お、おめでとうございます!貴方は『ヴァガストロム』に決定です!」
「うるさ……」
何だ彼奴、ぜってぇ関わりたくねぇわ。
「気を取り直して、次の方どうぞ~♪」
次呼ばれたのは、スマホを弄っていた黒髪。
だが、スポットライトの手前で足を止めて溜息を吐いた。
「白波蓮です……よろしくお願いします……」
「白波くん!ちゃんと真ん中に立って、もう少し大きな声でお願いしますよっ!」
「あの、それパワハラっすから。人前で説教するとか、時代錯誤かよ……」
グサグサと刺す言葉を並べ、理事長を責め立てる。それに流されて理事長も折れる。
なんだよ、グールってこんなんばっかなのか?
「では、他の人と同じように、マネキンの手を取って……」
「この小芝居、必要か?」
遮って手を取ると、今度は緑のツナギに身を包んでいた。
「おめでとうございます!貴方は『ジャバウォック』に配属です!!」
「え……」
うーわダッサ。俺、ジャバウォックとヴァガストロムだけはぜってぇやだ。
「では、次の方どうぞ♪」
後は俺とヘアバンドの白髪だけ。先に呼ばれたのは、白髪の方だった。
「灰園翔。よろしく」
「灰園くんっ!お名前はしっかり……」
「あ”?」
「うぅ……みなさん、拍手をお願いします……」
理事長、弱過ぎねぇか。
ぶつぶつ言いながら灰園がマネキンに触れると、黒鷺と同じ黄色のスカジャンを羽織った姿になった。
「わ~!おめでとうございます!本日の『ヴァガストロム』2人目です!」
うーわぜってぇヴァガストロム行きたかねぇ何の寮があるかは知らねぇが、ぜってぇ行きたかねぇ。
「では、次が最後の方です!どうぞ!」
遂に、俺が呼ばれた。
コメント
3件
雪って意外と毒舌系? 毒舌系がフロストハイム…良いかも