テラーノベル
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スポットライトの下まで行くと、全員の視線が一斉に俺へと集まる。
「では、自己紹介と抱負をお願いします♪」
終始ニコニコしている理事長に、何が楽しいんだか、と呆れつつも第一印象は良くありたいが為に猫を被る。
「朝切 雪で~す。グールとして出来ることをやって、怪異の被害を少なくしたいで~す」
作り笑いを貼っつけて猫撫で声を出す。
「雪くん、流石ですね♪」
「はぁ、ありがとうございます」
「では、同じようにマネキンに触れてください♪」
無機質な手に触れ目を閉じると、身体が僅かな浮遊感に包まれる。
会場からどよめきが起きる。
「わー!おめでとうございます!貴方は『フロストハイム』に所属ですね!」
青をベースとした、軍服のような堅苦しい格好。
自分だけ正装をしているみたいなのと、生地の硬い質感に嫌気が差す。
が、我慢する。
未だ騒々しい会場に、理事長が不満そうに言う。
「は~い!みなさん静粛に! 実は『開闢の審判』はまだ終わってません」
「なぜなら、今年度は2年生に、新しいグールが仲間入りするからで~す!」
その声とほぼ同時に、颯爽と壇上へ登ってきた生徒が1人。
「イギリスにある姉妹校のエムリスからやって来ました、ルーカス・エラントです」
グールの転校生が余程珍しいのか、会場には一層どよめきがあがった。
「ではエラントくんも、マネキンの手を取って、抱負を立てて下さい」
俺等と同じように光に包まれ……
「わ~~~!!おめでとうございます!貴方も『フロストハイム』ですねっ!!本日2人目ですっ♪」
___は!?フロストハイム!?
誰かの悲痛な叫び声が聞こえた。
……気がする。
毎話毎話が短くなると思います。
それと、この後の『件』の話は少し端折りながらにします。
本来のストーリーと同じですし、雪も出なさそうですので。
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