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#そのじん
笑う門には福来る
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#nmnm注意
nanana

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会議が終わり、仁人は一人で家へ帰った。
「別れなくてもいい。」
自分の口からそう言った言葉が、まだ胸の奥に残っていた。
昨日までは、別れることが勇斗を守る一番の方法だと思っていた。
でも。
それだけが、勇斗を守る方法じゃない。
何が正しいのか、全部分かったわけじゃない。
それでも。
もう、離れることを答えにはしたくなかった。
仁人は着替えを済ませると、そのままリビングのソファへ腰を下ろした。
部屋は静かだった。
時計の針だけが、一定のリズムで時を刻んでいる。
スマートフォンを手に取る。
画面には、今日も勇斗の記事が並んでいた。
『恋人は誰?』
『活動への影響は?』
『M!LKはどうなる?』
仁人はしばらくそれを見つめてから、静かに画面を閉じた。
「……違う。」
誰も悪くない。
勇斗も。
ファンも。
マネージャーも。
ただ、一つだけ。
このままでは嫌だと思うことがあった。
全部、勇斗が背負おうとしていること。
「まただ……。」
思わず小さく笑う。
昔からそうだった。
誰かが困れば、自分が前に出る。
誰かが傷つけば、自分が盾になる。
苦しいことも。
辛いことも。
「俺がやる。」
そう言って笑う人だった。
「ほんと、お前らしい。」
胸が熱くなる。
同時に。
少しだけ悔しかった。
自分は、守られてばかりだ。
別れようとした時も。
電話で引き止められた時も。
今日だって。
勇斗は最後まで、自分を守ろうとしていた。
「……俺。」
小さく呟く。
「何もしてないな。」
守られるのが嫌なわけじゃない。
勇斗が自分を大切にしてくれることは、嬉しい。
でも。
守られているだけではいたくなかった。
「一回くらい。」
苦く笑う。
「一回くらい、俺にも守らせろよ。」
もちろん。
勇斗ほど強くはなれない。
きっと、この先も。
あいつは何度でも自分の前に立つ。
何度でも、自分を守ろうとする。
それは、たぶん変わらない。
だからこそ。
「今度だけは。」
静かな部屋に、その声だけが落ちる。
「俺の番でいいだろ。」
仁人はスマホを手に取った。
画面には、インスタグラムのアイコン。
指先が止まる。
これを始めれば。
もう後戻りはできない。
勇斗はきっと怒る。
相談しなかったことも。
一人で決めたことも。
それでも。
仁人は小さく笑った。
相談すれば。
きっと、止められる。
また勇斗が、自分の前に立ってしまう。
だから。
今日だけは。
自分が前に出る。
仁人はしばらく画面を見つめた。
そして。
静かに、インスタライブを開いた。
コメント
1件
仁人の「俺の番でいいだろ」に、胸がぎゅっと詰まりました。ずっと守られる側だった自分が、初めて前に出ようとする――その覚悟の重さがひしひしと伝わってきました。インスタライブを開く最後の一文、静かでとても力強かったです。次がどうなるか、すごく気になります。