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20 - 第20話あなたのいない世界に用はないの

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2022年10月23日

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私を不幸にしたあいつらを殺してやる! ああ……なんて甘美な言葉だろうか! そうさ!殺しちまえばいいんだ! だが殺してしまってもいいのか!? 後悔はないのか!? 俺はお前を殺したくなんかねぇぞ! 俺だって殺したくて殺すんじゃない。

お前のために仕方なくやってるんだぜ? でもそれが本当にお前のためになるっていうんなら喜んでやれるけどな。

俺の本音としては今すぐこの手で絞め殺してやりたいくらいだよ。

だけどね、ぼくは今とてもしあわせだよ だってもうすぐ死ねるんだもの あの世があるなんて信じられないけど、きっと天国はあるよね? ぼくはもうすぐ死ぬんだし おそろしいほどの快感を感じることができる どんなにすごいことをやってのけるのか想像してみてごらん そうすればそんな気分になれるかもよ でもそれはほんとうに気持ちがいいらしいよ だって死んだらみんなそうなれるんでしょ? そうさ、ぼくらはみんな死にたがっているんだ だからこんなにも苦しい思いをしているんだよ ほら、見てごらん、苦しんでいる人がいるじゃないか あれは死んでしまった人の魂だよ 彼らは苦しみから逃れたくてたまらないんだだからああやって必死になってあがくんだよ でも無理なことだと知っているからあきらめてるんだけどね だけどその表情を見てるとゾクッとする まるで自分が生きているみたいでドキドキする どうして人はあんなふうに苦しみながら生きていかなければならないんだろうか もっと楽しく生きたほうがずっと楽しいと思うんだけどなぁ そうだ、いっそぼくもいっしょに苦しむことにしようかな それならひとりぼっちじゃないもんね ねえ、君たち、ぼくと一緒になってみたくないかい? いっしょになればいつでも一緒だし いつまで経っても終わらないし それになによりもすばらしいことがある それは永遠を手に入れることだ 永遠に死ななくなるってことだよ ほら、こわくないだろう? 永遠の命を手に入れたら、毎日がハッピーだぞ 君はどうだい?

「わたしもいっしょにいくわ!」

君は目を輝かせていった。

そして僕たちはふたり手をつないで歩き出した。

これで僕は救われる。やっと解放されるんだ……

しかし、そのとき僕の背中にナイフが突き刺さった。

血飛沫をあげて倒れる僕の身体。

そして目の前にいるのは君の笑顔だった。

なぜ彼女は笑えるのだろう。

なぜなら彼女の瞳の中には僕の顔があったからだ。

そこには鏡のように映る、もう一人の僕がいた。

つまりこれは彼女ではなく、僕の顔なのだ。

僕は彼女に殺されたのだ。

「あなたを殺してわたしも死ぬの」

そういうと彼女は自分の胸にナイフを突き立てた。

「あなたのいない世界に用はないの」

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