コメント
1件
思い出話ってなんかすごく幸せになりますよね…きっと青くんの足りなかったものは桃くんですね!((殴今回も神作品をありがとうございます!(´▽`)
❕attention❕
・ nmmn 、BL
・ iris青(受攻曖昧) × iris桃(受攻曖昧)
・ ただの思い出話
上記に理解がある方のみの閲覧を推奨します
- I side -
俺は親がいない。物心ついた時には孤児院で暮らしていた。なんとなく不便なことも無く生きていた。そうしてるうちに俺は高校生になっていた。
自分で言うのも気が引けるが俺は優秀な部類だった。テストでも学年上位、運動もそこそこできるし周りからの評判も悪くない。
だけど俺は満たされなかった。
「はぁ 、ほんとどうすっかな」
先生に渡された志望校のリストを見せられる。どこにも魅力を感じない。俺は勉強よりもっと満たしたいものがあった。それが何かは分からないが。
「にゃ ~ ん」
どこからか声が聞こえた。猫の声では無い。いや、猫の声も聞こえるがそれに返事をする人間の声がする。
「お腹すいたの?これ 、持ってきたよ」
車の裏には桃髪の男と猫が隠れていた。男は嬉しそうに笑いながら猫を撫でている。
「… ? だれ?」
そいつは俺の気配に気づいたのか振り返った。俺は慌てて数歩下がる。
「う ~ ん … あ 、俺と同じ制服 !!」
よく見るとその男も制服を着ていた。確かに同じものだ。
「奇遇じゃん 。何年?名前は?」
「… 3年 。青山威風」
「3年?俺と同じ !! 俺は内藤ないこ」
ないこと名乗った男は笑って手を差し伸べた。控えめにその手を握る。
「青山くんか。頭いいよね 、君」
「お前こそ」
互いに名前は知っていた。こいつもかなりの秀才。学年の上位争いは大体こいつとしていた。
「何してんの?」
「見ての通り。猫に餌やってる」
「なんで?」
「なんで?… 寂しいからかな」
馬鹿みたいだよねとないこは笑う。
「俺は親が夜遅くに帰ってくるからさ。なんていうか構ってくれる人が欲しかったんだ」
構ってくれる人か。
「…どうしたの?」
「いや 、なんか俺に似てんなあって」
「青山くんが俺に?」
「…俺は親がいなくて。なんとなく最近何しても満たされねえんだよな」
「寂しいんだ 、青山くんも」
「寂しい … ?まあ 、そうかもな」
「じゃあさ 、俺と友達になってよ」
ないこは立って俺と目を合わせた。俺より身長は低いが輝きのある目だった。
「寂しい同士。これで埋め合おう?」
「…… 変な奴 。気に入った」
ふっと笑うとないこも笑った。何故か初めて満たされた気がした。
「なぁんてこともあったね」
「いつの話だよそれ」
ないこはキッチンからソファに座る俺を見ていた。あの頃と変わらない輝くような笑顔。
「適当に言ったんだけどな」
「適当だったのかよ」
「適当っていうかなんとなく言った」
孤独だった俺らは結局惹かれあって今では一緒に住んでいる。互いに仕事もして生活も安定している。
「好きだよ 、まろ」
当初は嫌がったあだ名も今ではすっかり馴染み深い。
「俺もだよ 、ないこ」