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何か夢を見ていた気がする。
甘くて切ない感じがまだ残っている。
内容は何も思い出せないけれど。
目を開けるとテントの壁が見えた。
下のふかふかは寝袋、これは亜里砂さんの羽毛の奴だな。
どうもテントの中で寝入ってしまったらしい。
状況を思い出して慌てて起きてテントの外へ。
「ごめんごめん、何か寝心地がいいから思い切り寝入ってしまった」
「確かにそのテントとマット、寝袋のセットは危険な組み合わせだ。私もやってしまったからさ」
昼食まで寝入ってしまった川俣先輩がそう言ってくれた。
「まあ、亜里砂の魔法で起こさずに済んだだけましなのですよ」
先輩、思わず苦笑。
「厳しいな、未亜」
「でもそろそろ片付けましょうか。帰りもありますから」
美洋さんのそんな言葉で片付け開始。
乾かしていた鍋や食器を片付け、寝袋やマット、テントを畳む。
「暑い季節以外ならちょうどいいね、この場所」
「でも予約が必要だからさ。それに5月とかは混むし」
ちなみにザックの中は下から順に寝袋、それ以外の個人装備、共同装備、雨具や防寒具という感じ。
この順番だと到着後の荷物取り出しが楽だからだそうだ。
それにある程度重心は高い方が背負って楽だったりするらしい。
寝袋とかは力をかければコンパクトになるし。
「帰りはあの急坂、登りなのだ」
「坂は登る方が楽だぞ」
「確かに塔ノ岳に行った時はそうでした」
そんな事を言いながら歩き始める。
明日からはまた1年生5人で図書館に籠もって勉強。
まあ木曜あたり晴れたらまたちょっと出かけてもいいな。
連続して勉強会をしたら流石に息抜きがしたくなるから。
高速道路上を横切る橋を通り、そしてまた例の急坂。
「今度は何処に行こうかなのだ」
「今は寒くて釣りは無理だしね。でも風が無ければ海辺へ自転車で行ってみてもいいかな。今回と同じセットを持って」
「勉強会が順調にいけば、なのですよ」
そんな事を言いながら、急坂をゆっくり確実に登る。
「それにしてもテントとかバーナーとかいいなあ。こうやって使ってみると欲しくなっちゃう」
「そうですね。バーナーもガスならそんなに高く無いみたいです」
「テントの小さいのもバーナーも先生が色々キープしている。当分はそれを借りればいいさ。中学生の小遣いじゃ色々揃えるのは無理だ」
そんな話を聞きながら僕は思う。
つい最近、何か大事なような切ないような事を聞いたような気がする。
でも僕はこのハイキング中、その内容を思い出すことは出来なかった。