テラーノベル
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「……どういうこと?」
思わず問い返す。シェリーは、ふっと乾いた笑みを浮かべた。けれど、それはもう――神殿で見せていた『聖女』の優しい笑顔ではなかった。
「あのとき、私がいくつだったと思います? まだ、あそこにいる子どもたちと同じくらいだったんですよ」
シェリーの視線が、奥の集会室へ向けられる。
「ある日突然、皇室の兵が村を包囲したんです。何が起きているのか分からないまま……本当に、あっという間でした」
カイル殿下の表情が険しくなる。
「黒魔法師の一族が討伐された事件か」
「……討伐?」
シェリーの口元が歪んだ。
「便利な言葉ですよね。帝国の歴史書には、そう書かれているんでしょう?」
赤い瞳が、カイル殿下を射抜く。
「『魔物を操り、帝国を脅かした禁忌の一族を、先帝陛下が討伐した』って」
「事実、そう記録されている」
「――嘘よ!!」
シェリーの悲痛な叫びが、空気を切り裂いた。
「私たちは、魔物を呼び出すために存在していたんじゃない!」
「……どういうことだ」
シェリーは杖先で、地面に一本の線を引いた。
「人間界と魔界。その二つを隔てる――『境界』があります」
「境界……?」
「ええ。境界は永遠に保たれるものじゃない。少しずつ綻び、やがて亀裂が生まれる」
足元から、黒い瘴気がゆらりと立ち上る。
「そこから魔物が入り込まないように、瘴気の流れを読み、傷ついた境界を修復する」
シェリーが、自嘲するように笑った。
「それが――私たち一族の、本当の役目だったんです」
「……境界を守っていたってこと?」
「ええ。『境界守』。それが、私たちの本来の呼び名よ」
「一つ確認したい」
カイル殿下が、シェリーを鋭く見据えた。
「お前たちが境界を守っていたのなら――なぜ十年前、結界の内側に亀裂が開いた?」
カイル殿下の拳が、ぎゅっと握られる。
「俺はずっと、黒魔法師が意図的に亀裂を開いたのだと聞かされてきた」
しばらくの沈黙の後、シェリーが小さく息を吐いた。
「……やっぱり。何も知らされていないんですね」
「何だと?」
「あの亀裂を生んだのは――私たちじゃありません」
「…………何?」
カイル殿下の顔が強張った。
「原因は、先帝です」
「祖父上が……?」
「境界付近の地下深くには、希少魔石の鉱脈がありました。私たちは何度も警告したんです。これ以上掘り進めれば、取り返しのつかないことになると」
杖を握る指に、力がこもる。
「でも先帝は、採掘をやめなかった。そしてついに――境界を傷つけた。裂け目から溢れ出した魔物の群れによって……あなたのお母様は、命を落としたんです」
カイル殿下の顔から、血の気が引いていく。 握りしめた拳が、わずかに震えていた。
「祖父上が……母上を……?」
「信じられないでしょうね」
「……証拠はあるのか?」
ようやく絞り出した声は、掠れていた。
「ありましたよ。警告書も、採掘記録も。――一族が消されるまではね」
シェリーの口元が歪む。
「亀裂が開き、皇太子妃が亡くなった。先帝は自分の失策を公にできなかった。だから――都合のいい『犯人』が必要だったんです」
シェリーの瞳に、憎しみが滲む。
「境界を守っていた私たちを、境界を壊した罪人に仕立て上げた。そして――一族ごと消したのよ!」
そのとき――。
「殿下!!」
切羽詰まった声とともに、一人の騎士が駆け込んできた。
「何事だ」
「帝都南側より――大規模な軍勢が接近しております!」
「……軍勢?」
カイル殿下が眉を寄せた。
「どこの軍だ」
騎士の顔が、さっと青ざめる。
「それが――」
世羅 鈴🎨🎤
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花月夜れん
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ひより
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#ロマンスファンタジー
Jasmine
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コメント
3件
シェリー!! カイルと結ばれるのはソフィアだと思うんだけどそっちもそっちで幸せになって欲しい🥲 この物語の推しキャラ決まっちゃったかも
えっ…シェリーの過去、重すぎる…!!😭💔 黒魔法師って悪者だと思われてたのに、本当は境界守る大事な役目だったなんて…先帝のせいで全部歪められてたのやばすぎる… カイル殿下が真実知ったときの顔、想像しただけで胸がギュッてなったよ… 最後の「軍勢」で終わるのズルすぎでは!?!?続き気になりすぎる早く読みたい!!!!🔥