TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

NEO-V:system_0

一覧ページ

「NEO-V:system_0」のメインビジュアル

NEO-V:system_0

10 - 第5話:記録に残らない戦い

♥

33

2025年05月10日

シェアするシェアする
報告する

第5話:記録に残らない戦い

午前3時、東京湾の風が吹き荒れるなか、シスケープ第7ビルはひっそりと光を落としていた。

最上階のフロアで、ただひとつだけ明かりが灯っている――ユーヤの席だ。


黒パーカーの上に、着崩した社員用のグレーシャツ。

髪は乱れ気味、瞳は冷静に端末のログを読み続けていた。


モニターには一通の社内チケット。


【報告:TEST_SERVER-βにてマップ挙動の“ログ外分岐”を確認】


公式実装外の構造変化あり


検出元:自動バグチェックAI





ユーヤは一言も発せず、デバッグ権限付きの仮想空間へのアクセスを開始した。





【DEEP ZONE:TEST_SERVER-β】


ログイン先は“正式実装前”の戦闘空間。

本来、エンジニアとAIデバッガしか入らない、非公開の仮想ステージだ。


彼のアバター――system_0の姿は変わらず、簡素なユニット型装備だ。

一切のエフェクトがオフになった状態でも、彼の動きには一切のムダがない。


だが、出迎えた風景は――見慣れたマップの**“影”**だった。


建物の配置が微妙にズレ、壁のテクスチャが不自然に歪む。

天井には見えない何かの存在を示す“心音のようなノイズ”が断続的に響く。


「これは……意図的に、崩してある」







【戦闘:AIログブレイク個体との遭遇】


突如現れた敵は、通常の対戦AIとは異なる挙動をしていた。

逃げず、喋らず、ただ“system_0”に向かって全力で突進してくる。


ユーヤは瞬時に起動時間差スモークを発動。

視界を遮りつつ、スライディングでAIの背後へ回り込み、

二刀型のフォールダーナイフで、1手目を切り返し、2手目で反射防御を崩す。


光の閃きと同時に、AIが霧のように消えた――

だが、ログには何も記録されていなかった。


「……記録に、残らない戦い。仕様の外、じゃない。“意図”の外。」





【COKOLO:反応の兆し】


同時刻、COKOLOの一部ユーザーが謎の“ざわつき”を感じていた。


「なんか今、一瞬……COKOLOの空気、変じゃなかった?」

「感情エフェクト、強くなってた気がする……」




誰も知らないうちに、“見えない戦い”が空間のどこかで波紋を起こしていた。





【現実:シスケープ開発部】


朝7時。ユーヤは誰よりも早く席に戻り、

社内ログに**「該当記録なし」**と表示されたままのセクションを見つめていた。


そして一言。


「記録できないなら、俺が記録する。」


彼は自分用のローカルファイルに、こう記した。


【Tag:外部ログ外挙動】 【予兆:感情構造の逆流】 【仮説:NEO-Vは、共鳴している】

loading

この作品はいかがでしたか?

33

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚