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コメント
4件
笑いました🤣
「今日……泊まってけよ」
何気ないようで、はっきりとした意思を持ったその一言に、
舘はわずかに目を細めた。
「……そう来たか」
口には出さない。
だけどこの瞬間、どちらが上で、どちらが下になるかは、もう決まった。
⸻
最初は、たまたまだった。
舘が「寄ってく?」と訊いた夜、
岩本はすぐに彼を押し倒し、ゆっくりと奪った。
次に岩本が「来いよ」と言った夜、
舘は黙って跪いて、彼を受け入れた。
それが何度か繰り返されるうちに、
どちらからともなく、ひとつの暗黙のルールが出来上がった。
——誘った方が、受け。
まるで“責任を取る側”のように。
⸻
「で、どこまでやらせるつもり?」
舘の声は低く、少しだけ湿っていた。
岩本は答えず、シャツのボタンを外していく。
動きはゆっくりだが、目は獣のようにぎらついている。
「……お前がその気になるまで、全部」
その返事に、舘が吐息を洩らす。
そして、静かに脚を開いた。
⸻
決して上下ではない。
どちらが主で、どちらが従でもない。
ただ、その夜、先に手を伸ばした方が、身体を委ねるだけ。
それを知っていて、2人は今日もまた、黙って誘い合う。