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うつろな意識のまま、そっとベッドに下ろされた。枕に突っ伏して、はぁはぁと肩で息をする。
「まだまだだよ」
えっ? と見上げると彼が私の腰をぐっと持ち上げて四つん這いの体勢にする。戸惑っている間に、彼が後ろから突き上げる。
「ひゃああぁっ!!」
「くっ……締めつけすっごぃ……」
「あっあっあああっ」
動物みたいに貪り合って、だらしなく口が開く。いやらしい蜜を垂らして何度も果てた。だんだん意識が遠のいて目の前が白くなる。
いつの間にか、彼の顔が目の前にあった。永井くんの気持ちよさそうな顔が見え、腰が震えて2度私を突き上げたのを感じ取って、目の前は真っ白になった。
──目を覚ませば、すぐそばに彼の寝顔。まだ夜中なのかカーテンの隙間からは暗い空が少しみえている。
気持ちよかった余韻が、お腹の奥で疼く。
サブスクの威力はすごすぎる……こんなんじゃ身体がいくつあっても足らない。
セックスってこんなに気持ちがいいんだ。そう思ったのは初めて。
この2日でどれだけの初めてを経験したのだろう。
これからもっと、いろんなことするのかな……そう思っただけで顔がぼんっと熱くなる。
悶々と考えているうちに、寝ぼけた彼が私を抱き寄せる。すーすーとかわいらしい寝息、胸にそっと顔を寄せるとトクトクと小さな心音が聴こえる。
その心地よさにすっと目を閉じた。
月曜日から始まる復讐劇のことなんて、これっぽっちも考えてなかった。***
「おはよう藤原さん。早いね」
いつも早く出勤している部長より、さらに早く来ていたので驚かれた。
金曜日の仕事がまだ途中だったというのもあるけれど、もちろん復讐計画のためだ。
とはいっても仕事をがんばる以外は特になにも指示されていない。
会議の資料を作ったり、リサーチしたりと仕事はいくらでもある。
「明日の新商品の会議資料ってもうできてる?」
「あ、それは風見さんが最終チェックしてるので、確認しておきますね」
「あー……あ、いいよ。こっちで聞いとくから」
なんだか部長の様子がおかしい? 気を遣っているように思える。
部長が別れたことを勘付いているとは思っていなかったけれど、練習にはいいかもしれない。とにかくやってみようか。
「あの、お気になさらないでください。別れたのはショックでしたけど、その分仕事頑張ります!」
ニッコリ!
どや! これで完璧か?
「藤原さんらしいよね」
「そうですか?」
「月並みだけど、もっといい人いるよきっと」
「そうですね!」
うーん、なんか地味にきついような気もするけれど、これが作戦ならば仕方ない。
気持ちを切り替えて、金曜日にそのままにして帰った仕事を進める。
そのうちに始業時間になり、フロアが一気に活気づく。
元カレの席は私の斜め前。
嫌でも顔を上げれば視界に入る。
「風見さん、明日の新商品会議の資料って確認終わってますか?」
ちょっと体を傾けて、声をかける。
別れてからは、いかにいままでと同じように接するかで頭がいっぱいだった。