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「私の可愛いレイナ、ずっと一緒よ。」
これが私の母の口癖だった。母は私を女手1つで育て上げてきた。父はいない。1度だけ父は何処へ行ったのかと聞いたことがある。母は、
「この先私たちの人生にあの男は要らなかった。お荷物なの。だから捨てちゃったわ。」
と洗濯物を畳みながら言った。
あれは私が3歳になった時のこと。
「ママ再婚するの。レイナは弟とか、欲しい?」
「要らなーい。ママが居ればそれでいい。」
ママは一瞬驚いた顔をして、俯き、顔を上げたかと思えば微笑んで「そう。」と小さく呟いた。
それからしばらくして、怖い見た目の男と、私と同い年くらいの男の子が家に来た。
「挨拶しなさい。新しいパパと弟のイザナよ。」
「可愛いお姉さんだな。これからよろしく。」
「あんたのお姉さんじゃないわ。触らないで。」
男に触られるのが大嫌いな私は抱き寄せようとする新しいパパとやらの手を払った。その晩、私はママに言った。
「レイナは、あの男と上手く付き合う自信ない。ママはあの男と再婚して幸せになれた?」
「ママはいつも幸せよ。レイナが居るから。」
おやすみ、とママは部屋の電気を消した。
それからのことは覚えてない。まず、男を殺して埋めた。私が確か4歳くらいの時だった。ママの帰りが遅くなって、男は知らない女を連れ込むようになった。酒を飲み、私とイザナを殴り、片付けもせずに帰る。
イザナは強い子だから殴られても泣かなかったけど、痣を冷やしてあげる時に肩がぷるぷるしてたのを思うとやっぱり殺すべきだと思った。
「ねぇ、イザナ。パパのこと好き?……レイナは殺したいくらい大嫌いなんだけど。」
「嫌い……だけど、殺しちゃダメだよ……!」
この子はなんて純粋なんだろう。世の中が人の生死で動いてることを知らないなんて。私は知ってしまった。赤の他人の死を目の当たりにして、同情なんて気持ちは微塵も無く、ただ世の理なのだと受け入れた。
身体的にも精神的にもイザナを守るため、男を殺す時は私一人でしようと思った。
𝚃𝚘 𝚋𝚎 𝚌𝚘𝚗𝚝𝚒𝚗𝚞𝚎𝚍…