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???「アタシに護身術を教えて欲しいの」???「護身術ですか?」
???「唐突だね〜どうして教えて欲しいの?」
ここは、生徒会室。「雨花」、「橙」は「桃時」に護身術を教えて欲しいとお願いされていた。
桃時「アタシあんたたち体力バカと違って、体力が全然なくてどれだけ鍛えても筋肉がつかないの。だから何かあった時足でまといになるんじゃないかなと想って。だから教えて欲しいの」
桃時はまっすぐ雨花、橙をみつめる。
雨花「あはっ!良いよ!教えたげる!」
橙「私も協力します!」
桃時「ありがとう!」
この日から桃時の護身術の特訓が始まった。
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ここは、格技場。雨花、橙、桃時は貸し切ることが出来たため、早速護身術の練習を行っていた。
雨花「じゃあまずはお手本をみせるね!」
橙「私たちがまず闘うのでそれをみていて下さい」
桃時「分かったわ」
雨花に橙が向かっていく。橙が襲いかかろうとすると、腕を掴んで腕の付け根を持つと想いっきり持ち上げて床に叩きつけた。
橙「あの……お手本としては完璧なんですが、もう少し手加減して貰えます?」
雨花「あぁあ!ごめんごめん!手加減するの結構難しいから、わたしが襲いかかる役やるよ!」
橙「分かりました」
次は、雨花が襲いかかる役。雨花は正確に素早く橙の腹を狙う。橙はそれを先読みしていく。しかし、その先読みは雨花も負けていないため、橙の動きを先読みして、素早く軽やかに橙の首に指を刺し付けた。
橙「これじゃあどっちでも一緒じゃないですか!!雨花さんは手加減するということを覚えて下さい!あなたのやり方は初心者には難しすぎます!」
雨花「ごめんごめん。手加減って本当に難しいんだね……」
桃時「あんたもあんたよ。橙。あんたのやり方も初心者には難しすぎるわ」
雨花「やっぱり基礎から教えた方が良いと想うよ?」
橙「そうですね」
桃時「基礎?」
雨花「桃時ちゃんは鍛えても筋肉が付かないんだよね。それは体質的なものだからもう仕方ないことだと想う。だから相手の力を利用して倒す方法を掴むべきだと想うんだよね。それなら桃時ちゃんでもできるはず。かなり難しいけど」
橙「私たちは筋肉があったので、多少なら押していけばできることもありますけど、桃時さんはそうはいかないですからね」
桃時「雨花は、力量があってどんな状況でも体術を駆使して闘える。橙は頭の回転が早くて、自分の敵陣に対する対応が上手い。どちらも闘いにおいて必要な力ね。」
橙「桃時さんの分析力はすごいですね……!」
雨花「桃時ちゃんにも桃時ちゃんだけの闘い方みつかると良いね!」
桃時「えぇ。絶対みつけてみせるわ」
この日からほぼ毎日桃時は、護身術の練習を行った。雨花、橙もできるだけ付き合うようにしていた。しかし……
桃時「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………」
雨花「桃時ちゃん。一旦落ち着こ?休んだ方が良いよ?」
桃時はこの日は雨花にマンツーマンで教えてもらっていた。
桃時「ダメよ。もっと頑張らないと……」
雨花「桃時ちゃん」
雨花は桃時の顔に触る。
雨花「休憩するの。じゃなきゃ教えないよ?」
桃時「……分かったわよ」
ひとまず桃時を休ませることに成功した雨花。
雨花「桃時ちゃんは頑張り屋さんだね。でも、無理はダメ。絶対に。」
桃時「…………アタシ……できるようになれるかしら」
桃時は俯いてしまった。
雨花はそれをみて少し顔を歪ませた後、ほんのり微笑み、桃時の背中に手を置いた。
雨花「できるなんて無責任なことも言わないけど、できないとも言わないよ。前にもある子に言ったんだけどさ。努力って裏切らないって言うけど、努力は平気で人を裏切ってくるよ。裏切られ続けて、続けられてそれでやっと自分の追い求めた結果に少し近づけてきた気がしてくることもある。でもやっぱり裏切られ続けても、なし得ないことの方がある。だからさ。」
「「頑張ろうとしなくて良いと想うんだよね」」
桃時「え?」
雨花「…………わたしさ。不安になるんだ。頑張ってる人ってすごいし、かっこいいなって想うけど、いつかポキって折れて、倒れて、そのまま朽ちえて消えていってしまうんじゃないかなって。頑張るという意志を一度持っただけで、もう充分なのに」
桃時「…………」
雨花はそれを経験しているのかしら
雨花「だから、頑張るんじゃなくて、ただ「やる」ってことをすれば良いんじゃないかなって。何言ってんだって想うかもしれないけど、「頑張ろう」じゃなくて「やろう」に変えれば、心に少し余裕が生まれて、心の重荷が少し減って、物事に対応できるんじゃないかなって。そう想うんだよね。だから桃時ちゃん」
「「桃時ちゃんはもう充分頑張ってる。だから努力なんてムカつく奴に勝つ必要も負ける必要も無いよ」」
桃時「……ふふっ、努力がムカつく奴……確かに……努力って大変で苦痛な存在なのに、みんなから尊ばれてムカつくわね。……あんたらしいわ」
雨花「あはっ!さぁどうする?続ける?わたしは桃時ちゃんに付き合うよ?」
桃時「アタシは続けてみることにするわ。「やってみる」」
雨花「うん!」
数日後
橙「では、桃時さん始めますよ」
桃時「えぇ!…………はっ!」
橙「!」
桃時は橙のスピードを利用して、力を受け流すことが出来た。
そして、そのまま橙を床に叩きつけることに成功した。
雨花「桃時ちゃん!」
橙「桃時さん!」
桃時「はぁ、はぁ……で、できた?」
雨花「できたよ!できたんだよ!桃時ちゃん!すごいすごい!よく頑張ったね!おめでとう!」
橙「努力の成果ですね!」
桃時「違うわよ。橙」
橙「え?」
桃時「アタシはただ「やった」だけ」
桃時はウィンクする。それをみた雨花は、ふっと笑う。
橙「よく分からないですけど、でも、おめでとうございます!」
雨花「おめでとう。桃時ちゃん」
桃時「ありがとう。うふふっ」
この日から桃時は、強くなることができたのだった。
頑張るのではなく、ただやってみることも大切なのだと気づきながら。