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「桜閣様、桔音で御座います。入っても宜しいでしょうか。」
ノックの音が鳴ったと思えば、扉の奥から、そんな声が聞こえた。
(…びっくりした…桔音か。)
桔音は私の側近…の様な関係だと建前には言っている。だけど、実際は私の唯一無二の親友なの。…そう思ってるのは、私だけかもなんだけど。桔音もそう思ってると良いな。
「…桔音、入っても大丈夫だよ。」
そう返事をすると、部屋の扉が開いて、人一人の人影が部屋に映る。
「おはようございます桜閣様。本日は月曜日ですが、夢見は如何でしたか?」
起き上がった時と同じ体制でいる私の横に座った桔音は、こちらを見上げてそう問いかけた。声こそは淡白で感情は感じられないものの、その表情は不安そうなのがすぐに分かった。
こういう時に“大丈夫だよ”と私が答えると、返って桔音を不安にさせてしまうのはこれまでの経験で分かっている。ここは大人しく、素直にあった事を言うのが良いだろう。
負担をかけるかもだけど、これ以上桔音を不安にさせてしまう方が嫌だと感じる。
「今日も悪かったよ。…普段よりはましだったけど、 それでも悪いものは悪いんだよね~。」
そう言いながらも、冗談の様に笑いながら言う私の事を見て、頬をぷくっと膨らませながら、こちらを見て桔音が口を開く。
「笑い事じゃありませんっ!」