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#怪異
イキリ火の玉
812
ユミは「パパだっ!」と声を上げ、ダダダっと廊下を走って玄関へ向かった。
「ユミちゃん、家の中を走らないの!」
母もあきれた顔をして、ゆっくりユミを追って玄関へ向かった。
父が玄関に腰掛け、トレッキングシューズを脱ごうとしているその背中へ、ユミは勢いよく抱きついた。
ユミ「パパおかえり!」
ユミの強烈なタックルにビックリしつつも、父は少し振り返ってユミの顔を確認した。
父「アハハ、ユミただいま。これじゃブーツが脱げないよ」
なんとかブーツを脱ぎ終えると、父はユミを背負ったまま「ヨッコイショ」と立ち上がり、振り返った。そこには、二人のやり取りを静かに見守っていた妻の姿があった。お互いの目が合う。
母「おかえりなさい、陽ちゃん」
妻に久しぶりに名前を呼ばれ、ハッとして一瞬動きを止めた。その懐かしい響きに少し照れながら、妻の顔を見つめ返す。
陽介「ただいま、ママ……違うな、ただいま、さっちゃん。ハハッ、なんだか付き合い始めた時みたいだね」
そう言うと、二人は顔を赤くしてうつむき、一瞬の沈黙が訪れた。
陽介「さ…… さて、荷物を部屋に運んで着替えてくるよ」
妻のさつきはコクリと頷いた。陽介はユミを背負ったまま2階の書斎へと向かう。ユミは父の背中で、じんわりとした幸せを噛みしめていた。
コメント
5件
やっぱり、神作〜! 見るの遅れたわ…
読了しました🌙 この話、すごく温かくてじんわりきました…「おかえり、さっちゃん」って呼び直すところ、陽介さんの照れとさつきさんの沈黙が絶妙で。ユミちゃんのタックルからの背負ってもらう幸せ、家族の空気感がすごく伝わってきました。連載まだまだ続くの嬉しいです、次も楽しみにしてます🤍