テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#怪異
イキリ火の玉
812
陽介は書斎兼自室に資料の入った荷物を置き、背中からユミを降ろした。
部屋着のスウェットに着替えようとベルトに手をかけるが、ユミがじっと見つめていることに気づく。
陽介「えっと、パパ着替えるからね…」
そう言うと、ユミは無表情のまま返事をした。
ユミ「わかった、後ろ向いてるね」
カシャカシャとベルトを外してジーパンを脱ぎ、スウェットに着替え終えたタイミングで、ユミが口を開いた。
ユミ「パパ、さっきママが昔に戻ったみたいって言ってたよね?」
陽介「ユミも感じたのかい? 何かあったならパパに話してごらん」
陽介がそう言うと、ユミはダムが決壊したかのように昨晩のこと、乳神さまや毎朝届く牛乳、さつきが神社に一人で出向いたことを陽介に話し始めた。
陽介「なるほど、そんなことがあったのか。その牛乳、まだあるかい?」
ユミ「うん、冷蔵庫にあると思う」
陽介「そっか、後で調べておくよ」
トントントンと、さつきが階段を数段登ってくる音が聞こえる。
さつき「ユミちゃん、そろそろ登校の時間よ。降りてらっしゃい」
ユミは「はぁ~い」と言って階段を駆け下り、リビングのスクールバッグを取った。ユミの後を追うように、陽介もゆっくりと階段を降りてくる。
ユミ「パパ、いってきます」と言って、陽介に抱きついた。その時、陽介は想定外の違和感を覚えた。
(えっ、ユミ成長した? いやいや7歳だぞ気のせいか?)
さつき「今日は初日だからママが送っていくけど、来週からは一人で行くのよ」
そう言って、二人は玄関のドアを開けて外へ出た。
陽介「あ、あぁ、いってらっしゃい。気をつけて」
二人が家を出た後、陽介はどこか虚無感を抱えながら台所へ向かった。冷蔵庫を開けると、ユミの言っていた牛乳らしき瓶が見つかる。それをそっと手に取った。
(これか……)
コメント
1件
いやー、今回も家族の空気感が丁寧に描かれててじーんときたわ。ユミが「後ろ向いてるね」って父親に配慮するところ、7歳なのにしっかりしてて可愛いなと思った。それでいて昨晩の乳神さまの話をダム決壊みたいに話すギャップも良かった。最後の「これか……」で終わるところ、次がめっちゃ気になる!牛乳になんか仕掛けがあるのかな。陽介がユミの成長に気づくシーンもほっこりした。連載がんばってください🔥