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放課後の教室は、夕陽に染まっていた。
机の上に伸びる影が、ゆっくりと形を変えていく。
「ねぇ、さな、やっぱり今日は一緒に帰ろ?」
思わず声に出す。
さなは小さく笑って、うなずく。
その笑顔が、私に向けられているんだと信じて疑わなかった。
――さなは、私のこと大好きやもんな。
だから、こうして笑ってくれるんや。
教室の外からは、グラウンドの掛け声が微かに聞こえる。
でも、そんな音よりも、さなの声と笑顔に集中してしまう。
あの笑顔だけで、今日一日の疲れも、辛い気持ちも全部吹き飛ぶような気がした。
でも、時々、さなは小さく肩をすくめたり、目をそらしたりする。
私はそれも、「恥ずかしいんやな」と思って微笑む。
まさか、心の中で私のことを面倒くさいと思っているなんて、思いもしない。
「さな、なんか元気ないやん。大丈夫?」
思わず手を伸ばして肩に触れる。
「私がそばにおるから大丈夫やで」
自然に出た言葉に、私自身も少し安心する。
さなは少し目を細めて、微笑む。
その笑顔がまた私を幸せにする。
――ほんまに、さなは私のこと大好きやな。
――だから、こんなに安心できるんや。
今日もまた、さなの隣で笑っていた。