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30
事故にあった
頭は朦朧としていて
あぁ
もうすぐ死ぬんだ
とわかった
そこへ
1人の男が近くにやって来た
からだの感覚はもうなかった
彼は何かを必死に伝えていた
だけど
俺にはもう分からなかった
少しだけ
頑張って目を開けてみた
綺麗な目をしていた
一瞬で惹き込まれた
何故か目が離せなかった
これまでいい人生を送れなかった
家族は皆他界され
学校では虐められ
先生からはお叱りを何百回も受け
会社ではお前はなぜこれも出来ないあれも出来ないと責められた
家に帰っても誰もいない
暖かいはずなのにいつもご飯は冷たかった
話したくても話せなかった
眠いはずなのに寝れなかった
寂しかったのに寂しいと言えなかった
辛かったのに辛いと言えなかった
助けて欲しかったのに助けを呼べなかった
なぜ俺は産まれたのだろう
なんの為に生まれたのだろう
毎日
毎日
考えていた
何回も死にたくなった
だけど死ねなかった
死にたかった
自分の存在をこの世界から消したかった
だけど
何故か今は
胸がいっぱいだった
あぁ
そうか
人の温もりを感じたからなんだ
誰かと目を合わせたのも
誰かに触れられたのも
自分に声をかけてくれたのも
自分を見てくれていることも
全部初めてだったから
あぁ
よかった
最後に誰の温もりを知れて
この人と居たら
きっと
家に帰ったら温もりを感じ
暖かいご飯を一緒に食べて
たわいの無い会話をして
一緒に寝るまでおしゃべりをして
寂しい時は一緒にそばに居て
辛い時は話を聞いてくれて
助けてほしい時は手を差し伸べて
『大丈夫』
って言ってくれていたのだろうか
そしたら俺は生きていたのだろうか
幸せだったのだろうか
笑っていたのだろうか
あぁ
なんて
うれしいんだろう
最後に
自分が幸せだったら
こんな感じだったのだろうと
考える事ができて
だって
たとえ思い出は無くとも
そう考える事ができたことに
意味があったから
《ありがとう》
声になったかは分からない
届いたかも分からない
いや
届いてない方がいいのかもしれない
最後に
誰かに
自分の気持ちを伝えることができて
よかった
これでやっと
俺は生きている意味を
残すことができた
来世では
また君に会いに行くよ
必ず
見つけ出すから
最後に一つだけ
君にわがままを言わせて
俺
君に
恋しちゃったんだ
もう動くはずのない心臓が
どくどくと早く動いてる気がした
𝑒𝑛𝑑
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