テラーノベル
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りょうちゃんが俺の傷を見て動揺してるのをぼんやりとした頭でやっぱり優しい、と眺めていた。
そして抱きしめられた時、今しかないと思った。
気持ちを伝えたい、そして自分のものにしたい。
りょうちゃんが付き合おうと言ってくれて本当に嬉しかった。
でもその時俺は絶対に聞いちゃいけないと思った、その言葉だけは言わなかった。
その言葉を言わせて、それが嘘だと分かったら···しかも俺のことを気遣って言った嘘だとしたらと考えるだけで怖かった。
だから聞けなかった。
りょうちゃんは、俺のこと···。
恋愛として、好き?
そこで嘘が見えても俺は後戻りするつもりは無かったけど、聞く勇気がない俺は弱い奴だ。
弱くて、嫉妬深くて、酷い奴だ。
「りょうちゃん、今日も泊まって行って?」
「え···けど、昨日も泊まったよ?」
「やだ、今日も!ねぇお願い!」
りょうちゃんがちら、と若井を見る。
なんで若井のこと気にすんの?
俺も若井を見ると目を逸らす。
「俺は帰るよ、じゃ、りょうちゃんまた。元貴も 」
若井があっさりそう言ってさっと立ち上がりこっちを見ずに帰っていく。
俺はドアが閉まるのを見届けてからりょうちゃんにすり寄った。
「2人きりだね、お風呂入ろ?」
「···うん、そうしよっか」
りょうちゃんはやっぱり微笑んでくれる。関係が変化してから数週間が過ぎた。付き合う、というより半ば強引に付き合わせている俺にりょうちゃんは驚くくらい優しかった。
本当にそういう関係であろうとしてくれる姿勢に心が癒やされていくのがわかる。
もしかして俺のこと本当に好きになってくれたんじゃないかなって思うくらいだった。
「もう、ちゃんと拭かなきゃだめじゃない。ドライヤーもするよ」
「えー、めんどうだよ」
「だーめ」
タオルで優しく拭いてくれてドライヤーまでしてくれる。
いつだってちゃんと眠れてるかとか、ご飯は食べられたか、とかなんか母親みたいなりょうちゃんに笑ってしまう。
「りょうちゃんもしてあげる」
「ありがとう」
目を閉じてされるがままのりょうちゃんに、ドライヤーを消してぎゅっと抱きつく。首筋にキスをすると少し首をすくめたけど、そのあとはただ受け入れてくれた。
ベッドに連れていって、キスをして髪にも、耳にもゆっくりと指を這わせる。
全部自分のものだと確認する。
これも少し驚いたけど、そういった行為もりょうちゃんは拒否しなかった。
「元貴···ぁ、っ」
「りょうちゃん可愛い···」
甘い声が漏れる。
優しく胸も、お腹も、その下も撫でてとにかく俺はりょうちゃんに気持ちよくなってほしかった。
「ちゃんと気持ちいい?ここも、ここも···?」
「ん、いいよ···きもちいい···」
その言葉に嘘はなかった。
本当に気持ちよくなってくれていると知ってから俺はもっとりょうちゃんを愛した。
「元貴も、気持ちいい?それで···」
「すごく気持ちいいよ、りょうちゃん···」
不器用にも少しずつでも、りょうちゃんとの恋は深まっていっていると思っていた。
コメント
1件
距離感が埋まってるようで埋まってないのね。切な⋯⋯🥺