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「んー…むにゃむにゃ…」
椎名は6時間目で力尽き、爆睡をかましていた。
「んへぇ…」
先生はそれに完全に呆れており、1年生の通知表はオール2だ。
そして軒並み”授業態度に問題アリ”のような事が書かれている。
りりはその度に呆れたような様子をしており、下校の前に椎名を起こす_そんな、”ごく普通”の日常を送る。
「もう…下校前だよー!起きてー!」
「…んん…そんな…」
「はっ!?今何時!?」
「下校前だって!起きて!行くよ〜!」
「ひぃい〜…!!」
___
「ねぇ、本当に大丈夫なの?」
りりは椎名の顔をじっくり見ながら、顎に手を当てている。
橙に染まって輝く銀髪が揺れ、それに椎名は圧倒されるが、椎名は相変わらず能天気そうに、だが今日は、どこか引っ掛かりを覚えた様子で考える。
「うーん、学校でも話したけど、やっぱ全く知らない人に話しかけられたのは意味わかんないなぁ。」
「ずっと気になってたけど、本当に”ありがとうございました!”だけなの〜?」
椎名は考えながら答える。
「いや本当にそれだけなんだよ?全く記憶ないのに!気味悪い!変だよね!?」
「それは気味悪いって思えるんだ!!?」
「え?…もしかして前から…」
「9時間寝ても学校で爆睡ってはたから見たら大分おかしいからね!?」
「えぇええ!!?普通じゃないの!?みんなこうじゃなかったんだ…」
「うん!そうだよ!私ですら7時間とか、長くても8時間だよ!?」
「えぇ〜、他の人ってこんなに寝ないんだ…時間足りないから羨ましいなぁ…」
「あ、時間足りないって言葉が物理的なことあるんだ…」
「ふぁあ…やっぱ夕方って眠いんだよなぁ…」
「分からなくもないけど…もう、ちゃんと寝なよ?何かあったのか分かんないけど」
「…う〜ん、寝ようかな〜…」
二人は夕陽が差し込む中で手を振って別れ、椎名は家に着く。
「おかえり、今日は寝なかったか?」
珍しく早く帰ってきていた父が、そう聞く。
「あ、珍しいねお父さん〜、ふぁあ…」
「また寝ちゃった〜。」
眠そうな目をこすり、でもでもと6時間目で寝たことを強調する。
「そう!だから今日はえらい!」
「もうそれでいいよ…」
父もりりと同じように、呆れたような反応を返した。
「ねぇ〜お父さ〜ん!!お父さんまでそんなこと言うの〜!!」
「今日も随分賑やかね〜椎名。」
「あ、お母さん〜!」
「もう、どうせまた寝たんでしょ?授業中…」
「寝たけどさぁ〜!」
「もう…授業中寝ることって良くは無いのよ?気持ちはわかるけど…」
母親はそう言って息をつく。
「もうすぐご飯できるから、寝ないようにね。」
そんな母親の言葉に、目を擦りあくびをしながらはーい、と返事をした。
椎名は自室に戻り、デスクで本を読んでいた。
「ふむふむ………」
「なるほど…あ、いいな…」
独り言をつぶやき、じっくりと文字を眺める。
「…ふふ…」
これがいつから好きだったのか思い出せないが、コトンと音のなる、机に置かれたものを無視しながら、ひたすら文字に集中していた。
_というか、こうやって集中していないと、なんだか寝てしまいそうな気がするのだ。
「ご飯よ〜!!!」
母親の声で、はっと我に返る。
「はーい!!」
椎名は大きく返事をし、アライグマのしおりを昨日と同じように挟んで、部屋を出て、階段を降りた。
「…それで、どうなの?小説は面白い?」
3人は席につき、食事をしながら何気ない雑談を交わした。
#学パロ?
仲春@時間足りない
3,739
みんなだ@テストヤバ
49
「超〜面白いよ!比喩がいちいち綺麗でさぁ〜…」
「ストーリーも面白いし!!」
小説の話になり、椎名は目を輝かせる。
「はは、椎名は本当に本が好きなんだな!」
「好き!!だって超面白いし!」
「何冊でも読みたいんだけどね〜、如何せんいっぱい寝ないと体調が悪くなっちゃうからなぁ…。」
「はは、もしかしたら無意識でなんかしちゃってるんじゃないか?」
父親は冗談めかしくそう言ってみる。
「お父さん〜!!?絶対そんなことないって!」
母親も少し笑っているようであった。
とても微笑ましいものを見るような顔をしている。
「椎名の寝すぎ問題は解決したいんだけどねぇ…なんでか全く分からないし…。」
椎名はそれを聞いてはっと思い出したかのように、朝話しかけられた女性の話を笑いながらする。
「ほんと気味悪くてさぁ〜!」
「え…?ありがとうだけ?」
母親は心配そうな目で椎名を見た。
「えっ?」
父親は焦った様子で言う。
「じょ、冗談のつもりだったんだけどなぁ、本当に…」
「ねぇ〜!!?ほんと気味悪いって!!私何もしてないからね!?」
「そうだといいんだけどな!ハッハッハッハッ!」
父親は豪快に笑う。
母だけが少し、心配そうにしていた。
「多分人違いだと思うよお母さん〜!」
「そ、そうかもね…!?人違いよね!そう!」
母も飲み込めているかは怪しいが、とりあえず話を合わせようと笑った。
食卓には、一般階級の、いつも通りの日常が流れる。
それは、あまりにもあたたかいものだった。
それぞれに悲しい記憶などなく、全員が全員を_家族として愛している。
そんな団欒が、日常が流れていた。
「ご馳走様でした!」
椎名はそう言い、自分の食器を流しに出す。
「美味しかった〜!」
「ありがとうね〜!」
そうして、自室へと戻っていった。
自室に戻ると、途端に視界が微睡んでいく。
ふわふわする意識は、今自分がねむいことを自覚させてくる。
夢でも見ているかのような、視界がぼやけて、認識が歪められそうな、そんな感覚。
「ふぁあ…寝ようかな…小説…後10ページは読めるけど…ねむい…」
いつもより大きくあくびをして、椎名はベッドに潜り込む。
今は、19時半頃だというのに、椎名は全く寝れなかった日の朝くらいの眠気に襲われる。
「うーん…おかしいのかなぁ、いやぁそんな事ないと思うけどなぁ。」
「…ふぁ…疲れてるのかなぁ…。」
意識も声もぽやぽやと、幼い子供のようにそう呟くと、椎名は目を閉じた_
___
「……椎名ちゃん、本当に大丈夫なのかなぁ…」
りりは椎名を心配し、携帯電話を取り出す。
「…私が寝るにはまだ早いけど…」
現在時刻は20時だ、大人は仕事から帰っているくらいの時間だろう。
りりは心配しながら、椎名に電話をかけてみる。
_りりの不安とは裏腹に、いつも眠そうな彼女は、すぐに出た。