第9話
「う…ぅ…」体に少量の痛みの感覚を覚え、目が覚めたそこは真っ白な世界。そこで俺は天国かと思ったが自分に繋がれた無数の点滴や、酸素マスク、隣から聞こえる一定のリズムを刻む機械音によってここは病院なんだと理解した。
『めめが助けてくれてんだな…』そう思いもした。
それにしても静かな場所だなぁ…いつもはみんないて騒がしいのが当たり前だったから、機械音だけ聞こえること部屋は物足りないし、なんか寂しい。
その想いが通じたのか、扉が開く音がした。俺はなんかよくわかんないけど、開いていた瞼を閉じた。『誰が来たのかな…?』俺は疑問を持ったが、その疑問はすぐ解けた。
「佐久間くん…来たよ…」俺の大好きな声。でも、なんか寂しそうで、か弱い声。少し声がかすれてるから泣いてたのかな…?
「ねぇ…いつ目が覚めるの…?俺、佐久間くんに伝えないといけないこと…あるの…グスッだから早く起きてよ…グスッ…」泣かないで…そんな言葉俺にはかけられない。声が出ないのもそうだけど、俺はもうすぐ死ぬかもしれないし、これから先俺はみんなを悲しませることしか出来ないから…でも、今日くらいはいいよね…?
俺は花が咲ききって痛みを伴う腕をうごかし、瞼をうっすら開け、彼の顔を見ながら、彼の服の袖をくいっと引っ張った。
久しぶりに見る彼の姿は、俺が寝ている間に少し痩せていて、目元には隈ができてて、眠れなかったのかな…?なんて思った。
「佐久間く…ん…?」彼は目を見開いて俺にそう聞いた。声が出ないからせめてコレで…
俺は彼にうっすらとした笑みを見せた。彼は俺の返事を理解してくれたのか、さっきよりも涙を流し、俺のことを抱きしめた。
「佐久間くん…グスッ…めッ覚めて良かった…」今、声が出せるんだったら俺は間違いなくこう言ってた
【めめ…好きだよ】
でも、その必要はなかった。
「佐久間くん…俺、佐久間くんのこと好きだよ…だから目覚めなかったらどうしよッてずっと考えてた…グスッ」だからこんなに隈できてたのか…
「病気のことッ…隠さず言って欲しかった…グスッ何とか出来たかもしれないじゃん…グスッ」ごめん。めめ。
謝ることしか出来ない。そのうち俺も涙が溢れてきた。体が痛いからじゃない。なんでかわかんない。でも涙が溢れてくる。
「告白の…返事はグスッ…しっかり回復してからッ…聞くから…」俺はかろうじて動く首を縦に降った。
その後、めめが連絡したのかわかんないけど、メンバー全員が来てくれた。みんな疲れきった顔してて、申し訳なくなった。話を聞くと俺は1週間も寝ていて、医者からは
『これ以上眠り続けるのであれば死を覚悟して貰うことに…』と言われていたそうだ。まぁ、本人も死を覚悟したよ?
あと、宮田くんが自宅でなくなっているのを、元キスマイのメンバーが見つけたらしい。手紙が置いてあって、俺宛にもあった。その手紙を持ってきてくれたのは、藤ヶ谷くんと横尾くんだった。彼らは俺宛の手紙を見せてくれた後、
「宮田は/俊くんは、お前のことを心配してたよ」そう言って俺の病室から去っていった。キスマイは玉森くんが死んじゃった後、7人じゃないと意味が無いし、これから活動していく上で宮田くんの心体が持つか分からないという理由で解散した。
俺はSnowManにその運命を辿らせたくない。そう思って、リハビリに励み、痛みに耐え、体を動かせるほどに回復した。
変わらないのは、俺の体に咲く花だけ
続く
コメント
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続き楽しみに待ってます。😀