病院に運ばれ、胃に穴が空いてたようで緊急手術が行われ、目が覚めると、俺は集中治療室にいた。色んな機械に繋がれ、点滴がされてある。起き上がろうとしたものの、痛すぎて諦めた。何もすることがなくて暇すぎる。面会も今日はNGらしいので誰にも会うことは無い。すると近くにあった携帯が鳴った。それを取り、画面を見ると、『1件の通知 渡辺翔太』と表示されていた。その通知を恐る恐る押した。
『お疲れ。入院したって聞いた。明日からなら見舞い行けるって向井さんから聞いたんだけど行っていい?』
何とも優しいメールだと思った。あんなに突き放したのに。
『いいよ。みんな来るの?』
『いや、俺だけ。明日はみんな忙しいって。』
『分かった。待ってる。』
『おう。ちゃんと安静にしとけよ。』
翔太の返信に既読をつけて携帯を置く。それだけで疲れてしまい、そのまま眠りについた。
「失礼しまーす…」
「あ、翔太。いらっしゃい。」
次の日、無事に一般病棟に移されお見舞いもOKになったので、早速翔太がお見舞いに来てくれた。
「手術したって聞いたんだけど。」
「あぁ、胃に穴が空いてたみたいで…もう塞がったから大丈夫だよ。」
「…どんくらい入院すんの?」
「うーんと…2週間くらいかなぁ…?リハビリとかもあるし…」
「…俺、毎日来るから。」
「えっ、いいよ、忙しいだろうし…」
「来る。俺が行きたいの。」
「…分かったよ。」
俺が諦めたように言うと、翔太は満足そうに笑った。
「んじゃ、今日のところは帰るわ。じゃあな。」
「…あ、うん。じゃあね。」
…嵐のように去っていったな。そんなことを考えていると、いつの間にかリハビリの時間になっていて、俺はベッドから起き上がりリハビリ室へ向かった。
今日のリハビリが終わって、看護師さんから車椅子で送ろうかと言われたが断った。早く退院したかったから。でも、やっぱり手術後の傷は痛くて時間をかけて自分の病院に戻った。息も絶え絶えの中、病室のドアを開けた。
「あっ、涼太くん!おかえりー!」
「…康二、兄さん…?」
「俺もいるよ。」
「蓮、兄さん、まで…」
「どこ行ってたの?すごい息切れてるけど…?」
「ラウ、兄さん…リハビリ、行ってた…」
「あぁ、なるほど。ってか横になったら?しんどそうだし…」
「ん、そう、する…」
そう言ってベッドに横になる。
「っ、はっ…はー…」
「おくって貰わなかったん?」
「断った…早く、家帰りたい、から…」
「…気持ちは嬉しいけど、無理したら入院生活延びるよ?」
「…っ、このくらい、無理に入らない…っ」
「…だった。涼太くんこういう子だった。」
「自分に厳しいんよなぁ…」
「…涼太くん。」
「…なに、ラウ兄さん…」
「涼太くんが無理してないように見えても、俺らには涼太くんがきつそうに見えるんだよねー…」
「…」
「だから、俺らのためだと思ってさ、リハビリ帰りはおくって貰って?ね?」
「…分かった。」
「ありがと。」
何か口車に乗せられた気もするが別にいい。
「じゃあ俺ら帰るなー。明日も来るからー!」
「じゃあね、涼太くん。また明日。」
そう言って3人が病室を出ていった。パタンとドアが閉まる音を聞いてぽつりと呟いた。
「…寂しいな。…なんてね。」
「寂しいって?」
「え!?」
ドアの方を見ると、にやにやしながら立っている蓮兄さんがいた。
「…帰ったんじゃないの…?」
「たまたま聞こえたの。…なに、寂しいの?」
「…別に…」
「あっははっ!誤魔化すの下手ー」
「…いい性格してるね、蓮兄さん。」
「お互い様でしょ。」
「…」
「…まぁ仕事はどうにかなるっしょ。」
「え?」
「俺今日泊まるわ。」
「…え!?」
「いいでしょ。俺も丁度寂しくなってきたところだし。」
「…ありがと。」
そういうと蓮兄さんは頭をわしゃわしゃと撫でてくれた。
その夜は2人でたくさん話して、幸せ気分のまま眠りについた。
コメント
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めめだて、最高すぎる✨️ みんな涼太のこと好きだよね! 続き楽しみにしてます!