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【能力者名】千代子令子
【能力名】 腐れ外道とチョコレゐ卜
《タイプ:擬態型》
【能力】チョコを囓っている間、目に映る
全て。の人間のスマホの検索履歴を読むことができる。
【以下、細菌達の記録】
《HR前、一年B組の教室にて》
私、千代子令子は特等席である一年B組の
後ろの席でチョコを齧りながら友達と談笑
していた。
いや、正確には友達と談笑する風を装い周りの 人間に決して悟られぬ よう、辺りを見渡していた。
私の能力は《腐れ外道とチョコレゐ卜》、能力はチョコレー卜を齧っている間目に移る全ての 人間のスマホの検索履歴を読むことが
できる優れた能力だ。
私はこの能力を、親にも、友達にも、三回
セックスして別れた恋人にも言ったことは
ない。
理由は簡単だ。
人の秘密を暴ける能力なんて 他人にばれりゃ最悪殺されるからだ。
なので私は徹底的に無害な人間に《擬態》する。
前髪をうっとうしくなるくらい伸ばして
視線を悟らせないようにし、常にチョコレートを齧ることでいつ能力を発動しているか悟られないようにする。
時々ブラフでせんべいやキャンディーも齧ったりする。
そして私は《腐れ外道とチョコレゐ卜》で得た情報を、消して直接人に話したりはしない。
情報とは力だ。
力は独占してこそ意味が ある。
「えい!!千代子ちゃんをこちょこちょ~。」
「あっははは!!もうやめてよもー。」
さて、と私は友達とじゃれあいながら
隠れた前髪の奥から学年二位の秀才である
独絵三十九秒のスマホの検索履歴を抜き取った。
彼女はクラス一の秀才だ。
故に彼女のスマホ履歴を 読み取り、それと同じ勉強法をすれば、 赤点を免れることだって容易いわけだ。
これは合法的なカンニングだ。
抜き取った情報は私が瞬きをすることで完全に記録され、私の脳に残り続ける。
また、この能力で独絵三十九秒の検索履歴を除いている時に彼女がスマホに触っていないのにも関わらずスマホの検索履歴が変わっていることが複数回あった。
このことから推測するに、彼女はなにかしらの時間操作系の能力者、しかも特定の条件付きの時間操作系能力者だと私は踏んでいる。
理由は簡単だ。
もし条件のない時間操作系能力者ならばわざわざあんな風に勉強しなくても時を止めてカンニングし放題だからだ。
まぁ、私は探偵じゃなくてただのチョコレート大好きなJKだからまったく的外れな推理の可能性もあるがね。
ちなみに 学年一位の独絵転々独絵転々のスマホの情報も能力で 抜き取っている。
彼女の今日のGoogle履歴には《ちいかわ》《おぱんちゅうさぎ》《ハチワレ R18》
と書いてあった。
なんだよハチワレR18って。
ハチワレをやらしい目で見てんじゃないよ。
どうやら彼女はガチの天才で一夜漬けで
全教科満点をとれるほど頭がよいらしい。
あんまり参考にならないので私の中での
情報優先度はあんま高くない。
「おはよう、千代子さん。」
背後から異様な雰囲気を感じとり、私は動揺を悟られないように振り向いた。
「ええ、おはよう。妖怪沢くん。」
妖怪沢どろりが私に挨拶してきた。
何気ないクラスメイト同士の挨拶。
しかし私はこの男を危険視していた 。
長いこと能力で他人の秘密を暴いてきた私の勘がこの男の秘密だけは絶対に暴いてはならないと警戒アラートを出していた。
私は《擬態型》の能力者なので《擬態型》の能力者の行動パターンはある程度把握している。
この男は十中八九《擬態型》だ。
しかも極めて 凶悪な能力の、だ。
その上で妖怪沢どろりの擬態はほぼ完璧であった。
まるで普通の男子生徒のように振る舞い、まるで人間であるかのように振る舞い続ける 歪な化物。
それが私の、妖怪沢どろりという男に抱く
印象であった。
私は知りすぎて消される映画のスパイみたいな真似は決してしない。
……が、一度好奇心に負けて一度だけチラリと どろりの検索履歴を見たことがある。
そこには
《スライム娘 逆レイプ R18》
と書かれていた。…….世の中には知って
いいことと悪いこと、そして知らなければ
よかったことというのがある。そのことを私は、嫌と言うほど知っていた。
【運命の小テストまであと五日】
(最後まで読んでくださりありがとうございます。)