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#BL
kaede🍁
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おその★
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篝火

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その日の夜。
消灯時間が近づき、病院は静けさに包まれていた。
阿部は一枚羽織ると、誰もいない屋上へ向かった。
夜風が頬を優しくなでる。
街の明かりをぼんやり眺めながら、スマートフォンを取り出した。
発信ボタンを押す。
数回のコールのあと、聞き慣れた声が耳に届く。
『あべちゃん。』
「めめ。」
その一言だけで、張り詰めていた気持ちが少しほどけた。
『今日は外?』
「うん、病院の屋上。」
『風邪ひくなよ。』
「大丈夫。」
少し他愛のない話をしたあと、阿部は笑顔で報告した。
「あと三日で帰れるよ。」
電話の向こうで、目黒が息をのむ。
『よかった……。』
『本当によかった。』
心から安心したような声だった。
阿部も自然と笑顔になる。
「待たせてごめんね。」
『あべちゃんの為なら、いくらでも待つよ。』
「それは、待たせた後の反動が怖いな。」
少し照れくさくなって、阿部は夜空を見上げた。
「めめは最近どうしてたの?」
『仕事以外?』
「うん。」
目黒は少し笑う。
『面会できないって聞いてたから。』
『メンバーと会ったり、友達とご飯行ったりしてた。』
『家に一人でいると、どうしても心配ばっかりしちゃうから。』
阿部は静かに頷く。
『でもさ。』
目黒の声色が少し変わる。
『岩本くんからさっき電話があって。』
『今日病院行ってふっかさんに会ったって聞いて。』
「うん。」
『……めちゃくちゃ嫉妬した。』
阿部は思わず吹き出した。
「そこ?」
『だって。』
『俺も会いたかったもん。』
『ふっかさんの恋人だから仕方ないって分かってるけど。』
『正直、羨ましかった。』
その素直さが嬉しくて、阿部は優しく笑う。
「退院したら一番に会おうよ。」
『約束。』
「約束。」
少し間が空く。
目黒が静かに話し始めた。
『退院したあと。』
『みんなで事務所に集まるんでしょ?』
「うん。」
「マネージャーさんから聞いた。」
『俺も聞いた。』
目黒は続ける。
『ラウの話を聞いた時点で。』
『ふっかさんとしょっぴーは、あべちゃんと一緒に病院にいるんだろうなって思ってた。』
『だから面会出来ないのかなって。』
阿部は小さく頷く。
「二人とも。」
「最初はすごく苦しんでた。」
『……そうだよね。』
『俺だったら受け止めきれる自信ない。』
『だから。』
『二人のメンタルが心配。』
阿部は今日の出来事を思い出す。
深澤と岩本が笑い合っていたこと。
渡辺がしっかり前を向き始めたこと。
「まだ不安はあるかもしれないけど。」
「もう大丈夫だと思う。」
『そっか。』
電話の向こうで安心したような声がした。
しばらく静かな時間が流れる。
夜風だけが二人の間を通り抜けていく。
やがて目黒が穏やかに言った。
『あべちゃん。』
「ん?」
『三日後の話し合い。』
『どんな結果になっても。』
『俺はあべちゃんの意見を尊重する。』
阿部は息を止めた。
『活動を続けたいなら、一緒に頑張る。』
『少し休みたいなら、それも支える。』
『別の道を選びたいなら、それも応援する。』
『どんな答えでも。』
『俺は味方だから。』
阿部の目に涙が滲む。
「……ありがとう。」
『うん。』
「めめ。」
『なに?』
阿部は少しだけ笑って、素直な気持ちを口にした。
「早く。」
「めめに会いたい。」
電話の向こうで、小さく笑う声が聞こえた。
『俺も。』
『あと三日。』
『退院したら、一番最初に抱きしめる。』
阿部は頬を赤くしながら夜空を見上げる。
「楽しみにしてる。」
『約束だからね。』
「うん。」
通話を終えても、阿部はしばらく屋上に立っていた。
冷たい夜風は吹いているのに、不思議と心は温かかった。
コメント
2件
みぅです🥀 第35話、読み終わりました。 夜の屋上での電話、めめとの距離感がすごく温かくて、でもちょっと切なくて。 「あべちゃんの為なら、いくらでも待つよ」って言葉に、二人の信頼関係がぎゅっと詰まってる気がしました。 嫉妬するめめも可愛いし、退院したら一番に抱きしめるって約束、本当に尊いです。 あと三日。その先の話し合いがどうなるか、ドキドキしながら待ってます。