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どれぐらい経っただろうか。
痛みに耐え続けて20分。
男は本来の目的を忘れたのか、俺にこうして欲しかっただの振り向いて欲しかっただの。
好き勝手言っては殴るの繰り返し。
「…!…はぁっ…ぁ…」
もう体力も持ちそうになかった。
口から滴る液体が血なのかどうかも分からない。
プルルルル…
『…なんか鳴ってる…?』
プルルルル…
微かに電話がなっている音が聞こえた。
男は一瞬手を止め、携帯を見る。
「…はや、と」
男は電話に応じたようだったが、すぐにそのまま携帯を放り投げ、襲いかかった。
吉田は為す術なくただ、受け入れるだけだった。
『俺は、もう』
だんだん意識が遠のいていく。
『…ステージに、たてない、のか』
目頭が熱い。
「………ああああ……!!」
『あいつらには、もう会えないのか』
「……んやああああああああ……!」
『…なんか、聞こえる?』
男は聞こえていないのか、手をとめない。
「…やつはイキってるうううううううううう………!」
その声は段々と大きくなっていく。
『…しゅん、た?』
「…気を衒うなあああああああああああああああああ!!」
聞き覚えのある、どこか生意気な声。
…もしかして
ドタバタと足音がきこえる。
灰色の世界に一筋の光。
そこには、今1番会いたくなくて、会いたかった4人が立っていた。
「返してもらおうか、俺らのリーダーを」
「…どうし、て」
巻き込みたくなかったのに。
「あれ、バレちゃった?」
男は手を止め、4人を見つめる。
その顔は驚きと悲しみが混じったような顔だった。
「まぁ、吉田さんがどこにいるかなんてすぐ分かりますね~」
「…!!じんちゃん、、今、助けるからな」
「でさ、早く仁人から離れてくれない?我慢の限界なんだけど」
勇斗は今にも飛びかかりそうなのを拳で我慢する。
男は微動だにせず続けた。
「吉田くんって愛されてるね。でも俺も吉田くんのこと好きなんだ。なのに、吉田くんったら少し反抗的でさ。何?はやと?だいち?俺以外の名前呼んじゃってさ」
そう言って男は横たわっている吉田を蹴り飛ばした。
「…っあ”…ハァ…ぁ…」
「!!お前…!」
「あっはやちゃん待って!!」
「ダメだって!!」
「ダメやってはやちゃん!!」
3人の静止も聞かず、本能的に走り出し飛びかかる勇斗。
男の胸ぐらを掴み押し倒す。
馬乗りになった勇斗は、力いっぱいに拳を振り上げた。
「勇斗!!!」
「止まってはやちゃん!!」
「はやちゃん落ち着いて、同類になって欲しくない」
必死に止めようと、腕を押さえつけるが怒り心頭な勇斗に声は届かないまま。
「…はや、…と…だめ」
吉田の必死で微かな声も勇斗には聞こえていなかった。
男は余裕そうな表情でただ横たわったまま。
「じゅうちゃん、何とかはやちゃん抑えるから警察に連絡して!」
「わかった」
柔太朗が警察に電話をかけたその時、馬乗りになった勇斗を押しのけ男は立ち上がった。
その勢いで勇斗は床に投げ出され、押さえつけていた塩﨑と舜太も床に転げ落ちた。
「いってぇ……」
「はやちゃん!」
打ちどころが悪かったのか勇斗は腰を抑えていた。
「あまり俺を舐めてもらっちゃ困るなぁ。こう見えて鍛えてるんだ」
男は、意識を失ったのか動かない吉田を前に、立ちはだかる。
鉄パイプを片手いっぱいに握りしめた男は、挑発的に鉄パイプを振り回してみせた。
「うーん。本当は吉田くんともっと一緒にいたかったけど。警察が来る前に俺は逃げさせていただくよ」
そう言って男は思い切り鉄パイプを振りかざし塩﨑と舜太に襲いかかってきた。
その時だった。
「…おらぁあああああああああああああ!!」
腰の痛みも気にせず、勇斗が勢いよく男に体当たりをした。
そのまま男は床に叩きつけられ、頭を打ったらしく転がって痛みに悶えていた。
「…仁人はそれ以上に痛い思いしてるんだからな」
勇斗は男を押さえつけ、握られていた鉄パイプを奪い取り、放り投げた。
…ウー…ウ——
遠くから微かに聞こえるサイレン音。
「…はやちゃん、警察」
隠れていたのだろう、遠くから柔太朗がスマホを片手に手を振った。
「…じんちゃん!!」
「吉田さん!!」
安心したのか、仁人に駆け寄る2人。
吉田はどれだけ揺さぶられても目を開けなかった。
「…もう、大丈夫だから…おかえり、リーダー」