今回は玉折編1。なんかあまり腐要素がない。頑張ります。
直哉は任務で東京に来ていた。しかし推定準1級と聞かされていた呪霊が2級の雑魚だったので任務は直ぐに終わった。「どないしようかなぁ。観光していこうか?」などと考えながら街中を歩いていると数メートル先に見覚えのある人物を3人見つけた。3人とも身長が高くてガタイがいいので誰かははっきり分かった。
「あれ?直哉じゃん」
「悟くん、傑くん、甚爾!交流会ぶりやね〜」
「任務でこっちに来てたのか?」
「せやで!会えて嬉しいわ〜!」
二パッと笑顔を浮かべると悟くんと傑くんが心臓に手を当てて呻き声を上げている。大丈夫か?と思っていると甚爾がキスをしてきた。
「ばっ……、、、街中ではやめぇや!」
「はは、かわい〜」
「あ、そういや俺ら今日任務あんだよね。重要なやつ。直哉も行かない?」
嫌やで、と断ろうとすると悟くんが「拒否権な〜し」と言って俺を抱きかかえ走っていく。は!?と思っている暇もなく任務場所に着いたようだった。
「お、起きた」
「ん?起きたん──」
不意に室内にべちぃと爆音が響き渡る。
「下衆め!!妾を殺したくばまずは貴様から死んで見せよ!!」
どうやら悟くんが叩かれたようだった。思わず「ブフッ」と吹き出してしまった。あの悟くんが…w女の子に…wどうやら傑くんも甚爾も同じ気持ちだったようだ。
「理子ちゃん落ち着いて。私達は君を襲った連中とは違うよ」
傑くんが理子と呼ばれた女の子に優しく声をかける。
「嘘じゃ!!嘘つきの顔じゃ!!前髪も変じゃ!!」
(り、理子ちゃん…そんなこと言ったらあかんよ…このゴリラに…)
案の定理子ちゃんは2人にギリギリギリと引っ張られていた。
「ぃいや━━━━!!!不敬ぞー!!」
「おっおやめ下さい!!」
傍らにいた理子ちゃんよりも先に起きていたメイドさんが止めに入る。
「黒井!!」
「お嬢様、その方達は味方です。あそこの御二方も」
そう言って黒井さんが俺と甚爾を指さす。一応手を振っといた。
「…なんじゃ、2人ともガラが悪そうじゃの」
「理子ちゃん、またさっきみたいになりたいん?」
うっすら笑顔を浮かべて言うと理子ちゃんの顔がサアッと青くなった。
「と、というか黒井!何に乗っておるのだ?」
「これは前髪の方の術式です!」
「その言い方やめてもらえます?」
「「呪霊操術」文字通り取り込んだ呪霊を操れるのさ」
「思ってたよりアグレッシブなガキんちょだな」
「傑くん初対面の人に「前髪」って呼ばれる確率高いよなw」
「分かるわ」
俺が笑いを堪えながら「前髪」と囃し立てると甚爾がそれに反応する。
「やめてくれるかい…?全く…」
「げっふん…、”同化”と”死”を混同している輩がおるがそれは大きな間違いじゃ」
「同化により妾は天元様になるが天元様もまた妾となる!!妾の意思!!心!!魂は同化後も生き続け─聞けぇ!!」
長々と話していた理子ちゃんが俺らの方へ向きでぷんすこと頬を膨らませる。周りを見ると黒井さん以外理子ちゃんの話を聞いていなかったようだ。俺はガラケーをいじってたし甚爾は虚空を見つめていた。悟くんと傑くんに至っては待ち受けの話をしている。
「あの喋り方だと友達もいないじゃろ」
「快く送り出せるのじゃ」
「学校じゃ普通に喋ってるもん!!」
数時間前…
「盤星教には呪術師と戦う力がねぇ」
「でも金払いはいいぞ。それは保証する」
「……」
「どうだ狗巻。星漿体暗殺一枚噛まないか?」
時雨の隣にいる男は手元のスケッチブックにサラサラとペンで字を書き込む。彼は呪言師だ。
『もう狗巻じゃない』
スケッチブックに書き込まれたその文字に時雨が「…そうだったな」と反応する。
『婿に入ったから』
『今は唯月。いいよその話受けるよ』
「傑、監視に出してる呪霊は?」
「あぁ、冥さんみたいに視覚共有ができればいいんだけどね。それでも異常があればすぐに───」
傑は途中で言葉を発するのをやめて険しい目付きでこう言った。
「悟 急いで理子ちゃんの所へ」
「あ?」
「2体祓われた」
「天内は!?」
「この時間は音楽なので音楽室か礼拝堂ですね」
悟と傑と直哉と一緒に星漿体のガキの元へ向かう。
「まったく、目の届く範囲で監視させろっつったのに。そんな俺たちがマズイ見た目かよ」
そういえば理子は「友達に見られたらどうするんじゃ」と言っていた。
「…悟と直哉は礼拝堂、黒井さんと甚爾は音楽室、私は正体不明2人を」
「了解やで」
「承知致しました」
俺は黒井と共に音楽室へ向かった。
「天内!!」
「理子ちゃん!!」
俺と悟くんは礼拝堂の扉を勢いよく開けて理子ちゃんの名前を叫んだ。先程まで音楽の授業をしていた女生徒と先生が一斉に俺らの方を驚いたような顔で見る。しまった。
「なっ…なな…」
「「「「「え〜〜〜〜〜〜!?」」」」
「何 理子彼氏!?」
「違っ…いとこ!!いとこだよ!!」
「高校生!?背ェ高!!」
女生徒たちがキャイキャイと騒ぎ出す。そらいきなり悟くんみたいな顔面国宝が扉バーンって開けて来たら騒ぐよな。
「おにーさんグラサン取ってよ!!」
そう言われた悟くんが調子に乗ったようにカッコつけながらグラサンを取る。
「イケメンじゃん!!」
「おい調子乗んなよ!!」
「コラ!!皆さん静粛に!!はしたないですよ!!」
「先生だって気になるくせに」
先生に怒られた生徒が不機嫌そうに言う。
「困りますよ。身内とはいえ勝手に入られては」
「あーいや緊急なもんで。スンマセンね」
「あとコレ私のTEL番」
先生が紙を渡して小声でコソッとTEL番を教えてきた。どうやらその声は生徒たちに聞こえたようだった。
「お”ぉ”ーい!!条例違反!!」
「るせー!!教師の出会いのなさナメんじゃないわよ!!」
「それは私達だって同じでしょ!?教師が年下趣味とか見損なったわ!!」
「はあ!?光源氏ディスってんの!?」
俺はその様子をただ傍観していた。甚爾に「理子ちゃんおったで」と連絡しようとしたら女生徒たちが俺にも声をかけてきた。
「そっちの金髪のおにーさんもイケメンじゃん!?」
「おおきに」
俺はニコッと微笑みかける。
「関西弁!!素敵!!」
「…コイツ俺のだから」
悟くんから発せられたその言葉に皆が首を傾げる。俺もそうだった。…俺の?皆がポカンとしている間に悟くんは俺と理子ちゃんを連れて外へ出ていく。
「賑やかな学校だな」
「馬鹿者!!あれ程皆の前に顔を出すなと」
「呪詛師襲来。後は察しろ」
理子ちゃんが口を噤む。
「な、なあ…悟くん。さっきの俺のって…」
「うっせぇ黙れ」
「なんでやねん!!」
あの後例の正体不明の呪詛師が現れ悟くんと倒した。もう1人の方は傑くんと黒井さんが倒したらしい。強いやないかい。黒井さん…。そう考えていると理子ちゃんのガラケーがヴーヴーと鳴る。
「どっどうしよう黒井が…!!」
「黒井が!!」
理子ちゃんのガラケーを覗き込むと黒井さんが拉致されているような写真が写っていた。
護衛2日目
沖縄
「「めんそーれー!!!!」」
俺たちは沖縄に来ていた。あれ、なんでやろ?そういえば…
1日目
1:30 黒井拉致
21:00 拉致犯
取引場所を
沖縄に指定
2日目
9:00 五条・夏油・天内・禪院(2名)
沖縄到着
11:00 黒井救出
拉致犯捕縛
12:00 尋問終了
13:00 海水浴
(Now!!)
15:00 沖縄発
18:00 東京着
高専へ避難
3日目
11:00 天内
賞金取り下げ
日没後
天内同化
あー、そうやったな…。
理子ちゃんと悟くんが海ではしゃいでいる様子を黒井さんと傑くんが微笑ましそうに見つめている。まるで親子みたいなんやけど…w
「ブハハハハハ!!ナマコ!!ナマコ!!」
「キモッ!!キモなのじゃー!!」
一方那覇空港にて…
「どう考えても1年に務まる任務じゃない」
「僕は燃えてるよ!!夏油さんにいいとこ見せたいからね!!」
「それにいたいけな少女のために先輩達が身を粉にして頑張ってるんだ!!僕達が頑張らないわけにはいかないよ!!」
「台風が来て空港が閉鎖されたら頑張り損でしょう」
テンション爆アゲの灰原といつもの通り冷静な七海が空港へ来ていた。
「というかなんで甚爾だけ本任務なんだろう?」
「ほら、あれですよ…。甚爾は天与呪縛ゴリラですから…」
「なるほど…?」
灰原の苦笑いが響いた。
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