テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
続きのお話。の続き🩷💛
🤍💛
ブブッ
💛「ん…」
🤍「…」
スマホの微かなバイブ音で目が覚めた。
横を見ると柔太朗がまだ寝息を立てている。
眠っている横顔がやけに幼く見えて何故だか愛おしさが込み上がる。
可愛い寝顔…。
おぼろげにスマホを開くと勇斗からメッセージが来ていた。
『仁ちゃん、昨日大丈夫だった?』
💛「……」
いつものようにすぐにメッセージを返す。
💛『うん。大丈夫』
またすぐに返信がくる。
🩷『柔太朗も大丈夫そ?』
💛「……ぅー」
今になって罪悪感が込み上がって、返信を迷う。
💛『大丈夫。今日話す。家行っていい?』
🩷『いーよ、待ってる。何時頃つきそ?』
💛「じゅう、ごじ…」
スマホの時計を見ながら返信をする。
その時隣の柔太朗が目を覚ましたようだった。
🤍「んー…いま呼んだ…?」
💛「いやっ、呼んでないよ」
素早くスマホを置く。なんとなく後ろめたい。
🤍「…ふふ」
💛「…おはよ」
🤍「じんちゃん…」
💛「ぁ…」
不意に伸びてきた腕に抱き締められ素肌が触れ合う、その体温があったかくてくすぐったいような気持ちになった。
🤍「このままいよー?」
💛「え…」
🤍「今日オフだし」
スリッと肌に滑らせられた手が気持ちよくて目を閉じた。
💛「…ううん、今日は帰るよ」
🤍「……勇ちゃんとこ行くの?」
少し悲しげな目が俺を見つめる。
💛「……うん」
🤍「なんで」
💛「…話さないと」
🤍「あー…」
💛「話さないとね」
🤍「なんか…心配」
💛「え…」
🤍「勇ちゃん仁ちゃんのこと許さないかもしれないよ?」
💛「……」
その可能性を考えて血の気が引く。
🤍「…呼ばれたらすぐに行くから」
💛「…っ、大丈夫だよ」
🤍「んーん。心配だし」
💛「…柔」
おまえも十分過保護だよ、って言いたかった。
🤍「もすこし、このままがいい」
💛「…うん」
今は目の前のあたたかい素肌を感じていたい。
俺は考えを頭の隅に追いやり目を閉じた。
―――
💛「ハァ…着いてしまった…」
勇斗のマンションのエントランスで溜め息をつく。ここに来るのにこんなに気が重いのは始めてだ。
膝に手を付きフーっと息を吐く。
💛「…よし」
勇斗の部屋番を押して待つこと数秒。
ガラ…
扉が開き、奮い立たせるように拳を握りしめて足を運んだ。
――ガチャッ
🩷「…いらっしゃいっ」
💛「…うん」
笑顔で扉を開けた勇斗の顔色が一瞬変わった。
けど気のせいを含めてだろう、いつものようにそう言った。
🩷「…」
💛「…おじゃまします」
🩷「邪魔じゃな……」
靴を脱ぎ勇斗に1歩近付いた俺を見て勇斗が声を詰まらせた。
🩷「……仁ちゃん?どこから来たの…?」
💛「え…」
腕を掴まれる。
引き寄せられてすぐ俺の髪に顔を埋める勇斗。
🩷「……シャンプー変えた?」
💛「え…あ…」
🩷「……」
いきなりの応酬に反応が追いつかない。
こんなに早く違和感に気付かれるなんて。
🩷「…とりあえず入って」
💛「あ…うん…」
心臓の鼓動が速くなりザワザワとおなかが痛くなってくる。
部屋に入った俺を勇斗がすぐに抱き締めた。
💛「あっ…」
🩷「………」
ぎゅうっと強く抱かれて身動きがとれない。
ピッタリとくっついた勇斗の胸がドクドクと鳴っているのがわかる。
ああ…俺はなにもかも甘く考えていたんじゃないかと、その時気が付いた。
🩷「仁ちゃん…正直に言ってね」
💛「…」
勇斗の大きな手が俺の髪に指をかき入れキュッと掴む。
🩷「誰と居た?」
💛「…」
🩷「誰の家から来たの?」
💛「…っ」
🩷「…誰の家に泊まったの」
段々と低くなる声に体が硬直していく。
その声は明らかに怒っている。
静かで確かな怒りを感じ取った俺が言葉を詰まらせたままでいると、勇斗が身体を離した。
そのまま俺の目を覗き込んでくる。
💛「あ、は、やと…」
🩷「…ん?」
決して嘘はつかせないというような勇斗の強烈な怒りのオーラにまた言葉が詰まる。
💛「あ……じ、柔太朗…」
🩷「……」
💛「柔太朗、の…とこ」
🩷「…ふーん」
笑っているようで全く笑っていない。見開かれた目が俺を捉える。
パッ、と肩を掴まれていた手が一瞬で離れる。
そのままくるりと後ろを向いた勇斗の顔が見えなくて不安がどんどん増していく。
なにを考えてるの?怒ってる…?
どこか現実感のない勇斗の怒りは俺が彼を見くびっていた証しなんだろうか。
🩷「……」
💛「あの、…はやと」
🩷「……」
口も聞いてくれなくなった彼がなにを考えているかわからなかった。
怒ってる…のは確かだろう。
💛「あの…昨日柔太朗と、話して、」
🩷「……」
💛「それから、柔太朗の家に行ってっ、」
🩷「……」
💛「あの…だから、」
🩷「……だから?」
💛「だ、から…」
ゆっくりと振り向いた勇斗の顔を俺は一生忘れないかもしれない。
無表情。
感情の読み取れないその顔はやたらに俺の恐怖を煽った。
さっきまでの怒りすら感じられない程に無表情だった。
💛「……っ」
🩷「……仁ちゃん」
💛「は、い…」
🩷「どうしてそんな顔してるの?」
💛「え…」
少しだけの距離が物凄く遠く感じて、俺は寒気がした。
このままもう二度と彼に触れられないのではないか。
そんな距離。
🩷「……一応聞くけど」
💛「…」
🩷「俺の事裏切った?」
💛「…」
まるで石になってしまったかのように俺の身体は動かない。
唇がなにか言おうとプルプルと震えてくる。
なにを言えば彼は納得してくれるのか、ちがう。
どうすれば普段の勇斗に戻ってくれるの…?
あとが無い俺は追い詰められただ一言呟いた。
💛「あ……う、じ、柔太朗と、、した」
🩷「……」
真顔だった勇斗の眉がピクリと動いた。
🩷「した?……セックスしたの?」
💛「あ…そ、れは…」
🩷「……俺だけって、言ったよね?」
低い声でそう言われもうなにも言えなかった。
🩷「……」
💛「……」
張り詰めた静寂が俺たちを包んだ。
一瞬の後、パッと勇斗が普段の顔に戻る。
🩷「仁人、帰りな」
💛「…え」
🩷「うん。解散。お疲れ」
💛「あ…ちょ、」
🩷「ハイハイかえったかえった」
くるりと後ろを向かされグイグイと背中を押される。
ガチャッ
🩷「じゃーねー」
💛「はやとっ!」
バタンッ
ガチャッ
鍵……閉められた。
……終わった?
…なにが?
緊張から解放されたからなのかそれとも勇斗が明らかな拒絶を見せたからなのか…
💛「うっ…う…」
情けなく泣くことしか出来なかった。
ボロボロとこぼれ落ちる涙が勇斗の部屋の前の廊下に落ちていくのをただ俯き眺めていた。
――翌日。
❤️「おはよー」
💙「おうっはよー」
🤍「…おはよ」
💛「……」
🩷「おはよー」
今日の現場の朝は早い。
3本撮りの予定で終わる頃にはもう日が傾いているだろう。
💛「……」
❤️「仁ちゃん?どしたん?なんか元気なくない?」
💛「あ…いや、ちょっと寝不足」
💙「えー、仁人、太陽浴びな眠れんでー」
💛「あはは、いま浴びてきたって……」
❤️「そうやんなー!今日めっちゃ天気ええやんなー」
💛「はは…」
🤍「…」
🩷「さー張り切っていきましょー」
どうしよう。
こんなに元気が出ないなんて。
仕事…仕事しないと。
チラチラと勇斗を目で追ってしまう自分に気付き目眩がする。
何事もなかったかのような勇斗の振る舞いがより一層俺を苦しくさせた。
🤍「…仁ちゃん、ちょっといい?」
💛「あ…じゅうたろ」
手を引かれて廊下に連れ出される。
🩷「……」
そんな俺たちを後ろから見つめている視線にこの時は気が付かなかった。
🤍「昨日なにがあったかは今聞かない。」
💛「うん…」
🤍「でも酷い顔だよ、もしかして寝てない?」
💛「あー…うん」
🤍「ダメだよ…血色悪いよ、ご飯は食べた?」
💛「いや…なにも食べる気しなくて…」
🤍「……」
俯いて答える俺をフーっと溜め息を吐いた柔太朗が優しく抱き締めてくれた。
🤍「大丈夫。大丈夫だから、今は忘れよ」
💛「……」
力なく胸に顔を埋めた俺の頭を柔太朗の細い手が撫でてくれる。
そうされると少しだけ安心して、あったかくて、目を閉じた。
―――