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鍵を開けて再び部屋に入る。
【頭痛・生理痛のab製薬市販薬】の箱を片手に持ってベッドへ向かった。
戻って来る間に着替えており上下スウェット姿だった。
「まだ、痛むか薬持って来た。」
ベットサイドに薬を置く
「さっき…よりかは」
水を持って来る待っていろ。
「冷蔵庫に入ってるから、それを…」
そして、俺は冷蔵庫を開けベッドで横になっている姫の所へ戻った。
水をサイドテーブルへ置き、代わりに薬の箱を開けて錠剤を取り出す。
15歳以上大人2錠
パキッ
丸くて白い薬を掌に乗せた。
「薬持ってきたが飲めるか?」
「その薬苦い?」
「わからないが、【良薬口に苦し】というだろう」
そう言うと渋った表情になる姫。
散々ピルを服用してたお前がなぜ躊躇う必要性がある。
「拒否するなら俺が飲ませてやる。」
ベッドの縁へ腰を掛けると重みで沈みギシリと鳴った。
「素直に口を開けないから、口内に指を入れて無理やり薬を押し込み、水を流し込ませるか」
耳元へ近づいて
「それとも口移しがいいのか?」とそっと囁いた。
それを聞いた姫は起き上がり、俺の手から錠剤を奪い口に含んでから、姫に手渡したペットボトルのキャップを外し水を流し込んだ。
急いで飲んだ為か、戻しそうになる所を耐えていた、しかし口の端から水が僅かにこぼれ落ちた。
「飲めたじゃないか、これで聞く筈だ。」
何故か達成感が沸き「フッ」と笑った。
「効いてくれないと困る」
唇を尖らせた姫は、視線を下げ目を伏せた。
「俺も困る」
その言葉を聞いて⤴️バッと顔を上げた。
なんでって言いたそうな顔だ。
「ab製薬の薬だからな」
「あっ、そうだよな…」
一人で勝手に納得していた。
「 直に薬が効いてくる今は寝ておけ」
そう横になるよう促した。
すると無言でゆっくりベッドへと倒れ込んだ。
俺はドアへ視線を向けた。
薬も渡したし、そろそろ部屋を出ようと腰を浮かせたが、その瞬間、また上体を起こし俺の片腕を掴んだ。
そのまま胸の前に抱き寄せ、腕を交差させるようにして離さない。
「……何をしている。黙って寝てろ。」
そう言っても、ただ目で訴えてくる。
まだ、行かないで欲しいと。
俺は根負けし、座り直した。
「わかったから、腕を離してくれないか?」
なんで?って顔でキョトンとしている。
前に感じた感触より、弾力を感じる。
もしかして、前より大きくなって……胸が。
口が裂けても本当のことは言えない。
「……早く寝ろ。」
静かな声でそう言うと、
掴まれていた腕に力がこもった気がした。
「眠るまでは傍に居る」
「だから、離せ。」
少しの沈黙。
それから、小さく息を吐くような声で――
「……わかった。」
ゆっくりと腕の力が抜けていく。
離れてしまう温もりに、
ほっとしたようで、寂しくもあった。
(俺は……お前の痛みや苦しみを、共感できないんだぞ。そんな俺が傍にいたって、何もできないのに……)
そう思っているうちに、
姫はいつの間にか眠りに落ちていた。
穏やかな寝息が、部屋の静けさに溶けていった。
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