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「ねぇ…今、私の部屋に誰かいる気がするの…」
遥は慌てて起き上がった。
「マジ? 警察呼んだ?」
「…わかんない。気のせいかもしれないけど……クローゼットの隙間から、誰かがこっち見てる感じがするの」
「ふざけないでよ……マジ? じゃあ電話つないだまま、少しずつ離れて」
遥はアドバイスしながら、スピーカーにしてスマホを机に置いた。電話越しに、微かな足音や、衣擦れの音のようなものが聞こえる。息を潜めているのがわかる。
「……やっぱり警察呼ぶね」
そう言って、スマホを手に取ったその瞬間――
電話の向こうで、**ドン!**と大きな物音と悲鳴が響いた。
「みさき!? 大丈夫!? みさき!!」
何度呼びかけても、返事がない。数秒後、電話はブツッと切れた。
震えながらも警察に通報し、翌朝、美咲のアパートに向かった。
しかし――
そこには、数年前に事故で亡くなったはずの美咲の名前など、住人記録には存在していなかった。
部屋も、数年前に火事で焼け落ち、今は空き地になっていた。
遥は混乱しながら、スマホの通話履歴を確認した。
履歴には、昨晩の**午前2:17、美咲(携帯)**との着信がしっかりと残っていた。
そして、その下にあったのは――
「最後の発信者:非通知 録音あり」
再生すると、確かに美咲の声が震えて言っていた。
「…クローゼットの中、誰かいる……ねぇ遥、お願い、助けて――」
そして、最後に微かにこう聞こえた。
「……後ろにいるの、誰?」
遥はそこで再生を止めた。だって――
そのとき、自分の背後から、スマホと同じ声が聞こえたから。