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コメント
3件
最高すぎませんか…? えんそさんの書く作品、いつもリピさせてもらってますッ!
えんそ様。今回も神すぎる舞台ありがとうございます。ゆっくりゆっくりやってくださいまし。
イタリアッ!!たのむから…たのむからキミが報われないで川に飛び込むエンドだけは見たくないんだ、たのむ!!!!! イタリアが身体にどんな秘密を抱えてたとしても、ほら!先進国って寛大だから!ね!どうか精神を保って……!
いつも通り、時間通り会社に着いてデスクに座る。日本は昨日徹夜をしたのか、隈を抱えてこんな早くからパソコンのブルーライトとにらめっこをしている。少しでも休んだらいいのに。社畜の国民性が抜けないのか1か月に数回は徹夜で仕事をこなす日本を哀れに見守りながら、手帳を開く。
「…今日もイタリアは遅刻か」
以前ならもっと怒っていたのだが、今はあまり怒る気になれなかった。イタリアの体調が悪いためだ。サンマリノは、先日の”あの一件”で相当精神に来てしまったのではないかと言っていた。確かにあれは悲惨なことだったから、イタリアはそれで体調を崩してしまったのだろう。さすがに、この俺でもそんなイタリアに怒鳴りつけることはできなかった。…ただ、忠告だけしておこう。そう思った。
「ボンジュール、ドイツ~!」
ふと、後ろから誰かが俺の肩に手を置く。そのイントネーションとその雰囲気は、あいつしか居なかった。無駄に甘い声に少し渋い顔をした。
「…今度は何の用だ、フランス」
するとフランスは、すっとどこからともなくファイルを取り出し、俺の机に置いた。俺がそのファイルを蔑むような顔で見つめていると、フランスは気にせず、聞いていないことを喋り始めた。
「それ、期限が明後日までのやつね!僕は明日が期限のやつで手一杯だから、お願いね!」
いつもの笑顔でフランスは言う。
「…おい、俺にも仕事があるんだが。残業しろというのか?」
「?うん、すればいいじゃん残業。ジャポンを見てよ、あのキラキラした目」
「…どこがキラキラだ。あのなあ、ドイツ人は定時を守らないと最悪死に至るんだぞ。お前が一番知ってるだろ」
※至りません
「ふふ、知ってる。まぁお願いね!」
「オイッ、…たまには自分で仕事をしろ!!」
そんな声ももうフランスの声には届いておらず、フランスは他の国に絡みに行っていた。ドイツははあ、と深いため息を吐き、ファイルを一通りパラパラと見ながら手帳にメモをした。
「ごっめーん、遅れた!Ciao、みんな!」
ここで、例のアイツのご登場である。
「おはようございます、イタリアさん」
「Hola、イタリア!」
「Ciao、日本!スペイン!
日本は本当に缶コーヒーが好きだねぇ。」
日本は相棒ですので、と笑ってない笑みを浮かべて言う。全く、…是非休んでほしい。そんなことを思いながら、イタリアの所へ歩く。
「Ciao、ドイツ!」
「…お前なぁ…」
軽くイタリアのおでこにデコピンをかました後、少し威圧的な声で言う。
「最近体調よくないんだろ?だからそんなに責めたりはしないが、遅刻するなら連絡の一つ二つは寄越してくれ。わかったか?」
「…べ、べつに体調悪いわけじゃ、…」
「嘘つけ。声ちょっと昨日と違うだろ。喉でも痛いのか?一回スイスかオーストリアに診て貰え。」
「…わかったよ、ごめん…」
俺が食い気味で返すと、イタリアは歯切れの悪い返事を返した。それを聞いて、俺はまたデスクに戻る。イタリアは他の国にも声を掛けながら、いそいそと仕事の準備を始める。
そんなイタリアに、フランスが絡む。
「言われてみれば、ちょっとだけ声ガラガラしてんね…のど飴あげよっか?」
イタリアはフランスに肩を置かれ、ビクッと肩を震わせる。ふるふると振り向いてフランスの方を見れば、イタリアは怯えたような顔を浮かべた。
「…イタリア?どうしたの、そんな…怯えた顔して
もしかして僕そんなに怖かった?」
イタリアははっとしたように顔を戻すと、ぎこちない笑みを浮かべて返す。
「ご、ごめん!そんなわけじゃないんだけどさ、…」
「…なんかあるなら遠慮なく言いなよ、僕、お前が弱そうなの見たくないなあ」
他の国もそれに頷く。イタリアは少し柔らかい表情になった。そして言った。
「…ちょっと、悪夢を見ちゃったんだよね。だから、かも…。」
「悪夢?」
「まぁ、大したことじゃないし…心配かけてごめんね?」
フランスは少し不満ありげに頷いて、イタリアの頭をぺし、と軽く叩き「謝んなくていーの」と言う。
俺はその一連の流れを見た後、また黙々と仕事を始めた。