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意識は無いながらも、所々覚えていることがある。ひどい目眩で吐き気をもよおして辛かった。その時に何かの乗物に乗せられて身体が揺れていたこと。怪我をしたらしい太ももが熱を持ってジンジンとしていたが、身体も同じくとても熱かったこと。時おり俺の名を呼ぶゼノとジルの声が聞こえたこと。この世のものとは思えない苦い薬を口の中にねじ込まれたこと。いつ朝が来て夜が来たのかわからなかったが、体感で五日は寝ていたのではなかろうかと推察する。しかし実際は、七日も眠っていたらしい。情けないことだ。


熱が下がり呼吸が楽になった頃、俺は目を覚ました。ゆっくりと瞼を持ち上げ、ぼやける視界で目に映る|事柄《ことがら》を理解しようとした。

白い天井。豪華なシャンデリア。そして白い壁。見知らぬ部屋だ。木の天井ではないことから、街の宿ではないとわかる。ここもジルの祖父母が所有する建物だろうか。倒れた俺を、ここまで運ぶのは大変だったに違いない。

|緩慢《かんまん》な動きで首を動かし、部屋の中を見た。誰もいない。ゼノとジルはどこだ?今の状況を聞きたいのに困った。

その時、俺は唐突に気づく。鉱石はどうした?俺は確かに手の中に握りしめていた。

ゆっくりと持ち上げた右手の中に、鉱石はなかった。その代わり、包帯が巻かれている。


「なぜ…だ…」


絞り出した声がかすれている。怪我をしたのは足のはず。なぜ手のひらにまで治癒がされているのか。

俺は、どれくらいの間、眠っていたのか。五日ほどかと思っていたが、声の出しづらさからして、それ以上だろう。それにひどく喉が渇いた。ベッド脇に水差しとコップが置いてあることに気づいた俺は、起き上がろうと腹に力を入れた。しかし簡単には起き上がれなくて、起き上がれないくらい弱ってることに情けなくなりため息が出た。


「俺は…フィル様を守らなければならぬのに…」


早く鉱石から薬を作り、フィル様に渡しに行きたい。だからいつまでも寝ているわけにはいかない。

ベッドから降り震える足で立ち上がると、扉に向かって足を踏み出した。

その時、「入るよ」と声が聞こえ扉が開いた。ゆっくりと現れた顔を見て、俺は走り出した。だが踏み出した足に力が入らず倒れてしまった。



銀の王子は金の王子の隣で輝く

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