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『悪政のロカ』がビショップ•マカロンの
尋問及び処刑場所に選んだのは、【聖域】と
呼ばれるマカロンの調理室であった。
『悪政のロカ』はその【聖域】を土足で
踏み荒らした。
ビショップ•マカロンは敢えて 衛兵ではなく、マカロンのまだ幼い弟子達に運ばせた。
幼い弟子達はマカロンがこれからどうなるかを幼いながらに予感した。
しかし彼らにはどうすることも出来なかった。
「これより尋問を始めます。あなた達は持ち場に戻りなさい。」
そうして弟子達は去り、【聖域】には
ロカと全裸に剥かれ手足を縛られた ビショップ•マカロンだけが残った。
【尋問開始】
ドサッ、と容疑者のビショップ•マカロンは
大理石でできた調理台の上に乱雑に置かれた。
大理石に背中を打ち付けた痛みで マカロンはうめき声をあげた。
ロカはワニの革製の手袋を両手につけた。
そして、ロカはスカートの中に隠していた
ペンチを使いマカロンの舌を引きちぎらん
ばかりの勢いで引っ張った。
「痛ぃ!!!?」
マカロンの舌から少量の血と唾液が垂れた。
ロカはこれまたスカートの中に忍ばせた
ピペット(かなり原始的な材質と構造)を使い それをとり、袖に仕込んでいた実験用ラットを 潰れんばかりの勢いで大理石に置いた。
【解説】
なぜ、王宮内の誰も式典内のロカの袖や
スカートに大量の拷問器具及びに尋問器具
並びに検査器具を忍ばせて誰も指摘しなかったか?
相手が女王ロカであるからというのも勿論あるがそれだけではない。
その理由はロカの着ている正装にあった。
式典は大層めでたい日、そんなめでたい日に大量の宝石を身の施した正装をしていてもおかしくはない。
宝石達を実にわざとらしく
ジャラジャラと音を鳴らしてめでたい日を祝ってもなんらおかしくはない。
それだけではない。
ロカ王女は予め実験用ラットがチューチュー泣かぬように歯と声帯を切除していた。
これぐらいのこと、普段から時々自分で人間
を拷問しているロカならば出来てもおかしくはない。
動物愛護法などという法はシトラス王国の法律には存在しないのだから。
夥しい宝石と復讐用の道具でものすごく 身は重たいし、腕に仕込んだ鼠が暴れまわって 正直かゆくてかゆくてしかたなかったが、 そんな些細なこと、復讐鬼『悪政のロカ』には実に些細なことでしかなかった。
ついでに捕捉するならば女王ロカは日頃から無駄に重いドレスと 無駄に重い王冠を身につけて生活をしていた。
これだけの重装備をしながら冷や汗を かかずにいられるのは日頃の服装とロカの漆黒の精神力の賜だったのだ。
【解説終了】
ロカはマカロンの目の前で
ラットの口を開けさせピペットでマカロンの
唾液を飲ませた。
ラットはドクンッと跳ねた。
そして哀れなラットは天に召された。
ラットにとって唯一の幸福はマカロンの毒で楽に死ねたことだろう。
マカロンは【バルザード十二世毒殺事件】の後も複数の少量の毒を大量に蓄積させ続けた。
マカロンの体内の毒はまるで蠱毒のように混ざりあい、洗練され、より上質な毒となった。
マカロンの毒の性質は《代謝の促進》。
代謝の促進と書けば健康に良さそうに見えるが実際のマカロンの毒は少しでも接種量を間違えれば急激に血圧を早め、心臓の血管を
破裂させる非常に凶悪なものであった。
マカロンの体液に今でも毒性があるかは正直
賭けであった。
マカロンの体内に蓄積された 毒はとっくのとうに体外に排出され、 綺麗さっぱり消えてしまっていてもなんら 不思議ではなかったからだ。
そこで女王ロカは探偵ナイト•クラウンからもらったハンカチについたマカロンの涙の成分をすぐさま衛兵達に調べさせた。
そこでもたついた調査をするような衛兵はとっくの とうにロカによって処刑されてた。
マカロンの体液の毒性を確認したロカはただちに 衛兵達にマカロンのパンツやシャツや尿を調べさせ、マカロンの体液の毒性をより確かなものにした。
ではなぜ、誰もマカロンの持つ体液の毒性に気がつかなかったか?それはシトラス王宮内で扱われる洗剤に原因がある。
シトラス王国の扱う洗剤はシトラス王国の食文化と比べ洗練されていなかった。
シトラス王宮内で扱う最高級なものでさえ、素手で洗うと 手がピリピリした。
そこで王宮内で衣服や食器を洗う時は衛生面での観点を踏まえてしっかりと手袋をつけるのが鉄則であった。
それを怠るものは 女王ロカの手によってすでに処刑されていた。
仮に万が一衣服や食器を洗う時に マカロンの体液に肘などで触れてしまっても それは洗剤のせいだとされて、きっと疑いも しなかっただろう。
かくして、ロカはマカロンが如何にして
バルザード十二世の珈琲に毒を入れて
殺してみせたかを実際にやって証明してみせた。
大理石の上で手足を縛られ、 復讐鬼に証拠を突きつけられた毒殺犯は さながら、まな板の上の魚のようであった。
犯行方法は示された。
後は動機を吐かせるだけである。
ロカはこのおよそ6年間ずっと どのようにして実行犯を調理してやろうか と考えて考えて考えてきたのだ。
どのようにビショップ•マカロンの全てを
凌辱し尊厳を踏みにじった後に殺すかを
考えて考えて考えてきたのだ。
随分と前置きが長くなってしまった。
いよいよここから、『悪政のロカ』の
復讐劇が始まるのである。