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照が支社へ戻る日。
朝早くから支社はどこか落ち着かなかった。
「岩本さん今日だよね?」
「半年なんてあっという間だったな」
そんな声があちこちから聞こえる。
辰哉は時計を見て、小さく笑う。
💜「あと十分か」
その時だった。
エレベーターが一階で止まる。
扉がゆっくり開く。
見慣れたスーツ姿。
少し日に焼けて、前よりも頼もしく見える。
💛「おはよう」
一瞬だけ、オフィスが静まり返る。
次の瞬間。
「岩本さん!」
「おかえりなさい!」
「待ってました!」
社員たちが一斉に集まる。
照は少し照れくさそうに笑いながら、一人一人に頭を下げた。
💛「ただいま」
その輪の少し後ろ。
辰哉は笑っていた。
目が合う。
それだけで十分だった。
💛「……」
💜「……」
照はほんの少しだけ頷く。
辰哉も小さく頷き返した。
二人だけに分かる「ただいま」と「おかえり」。
────────
午前中は引き継ぎや挨拶で慌ただしく過ぎていった。
昼休み。
🧡「照にぃ!」
💛「康二」
🧡「やっと帰ってきたな!」
💛「長かった」
🧡「深澤さんなんか毎日のようにカレンダー見とったで」
遠くから辰哉が聞こえた。
💜「康二!」
🧡「ほんまやん」
辰哉は照れくさそうに笑う。
照も思わず笑ってしまった。
────────
午後。
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目黒が資料を持って照の席へ来る。
🖤「岩本さん」
💛「目黒」
🖤「改めてよろしくお願いします」
💛「こちらこそ」
少しだけ沈黙が流れる。
目黒は小さく笑った。
🖤「深澤さん、すごくいい先輩ですよ」
💛「知ってる」
🖤「……ですよね」
二人とも笑う。
もうわだかまりはなかった。
目黒は自分の気持ちに区切りをつけていた。
そして照も、その表情を見て安心した。
────────
仕事終わり。
歓迎会が開かれた。
社員たちは笑い合い、照の帰還を喜ぶ。
🧡「照にぃ、一言!」
拍手が起こる。
照は少し困ったように笑って立ち上がる。
💛「半年間、本社でたくさんのことを学びました」
💛「その経験を今度はこの支社で返していきたいと思います」
💛「これからもよろしくお願いします」
大きな拍手が響いた。
宴会は大いに盛り上がり、気付けば夜になっていた。
────────
帰り道。
駅までの道。
久しぶりに二人きりだった。
街灯が静かに道を照らしている。
💜「お疲れさま」
💛「お疲れ」
少し歩いて。
照が立ち止まる。
辰哉も隣で止まった。
💛「やっと帰ってこれた」
💜「うん」
💛「待たせた」
辰哉は首を横に振る。
💜「待ってよかった」
その一言で、照の胸がいっぱいになる。
💛「辰哉」
💜「ん?」
💛「五年前さ」
💛「仕事を理由に、お前のこと後回しにした」
辰哉は静かに聞いている。
💛「本当はずっと後悔してた」
💛「だから今回は」
💛「絶対に同じことを繰り返したくなかった」
辰哉はゆっくり笑う。
💜「知ってる」
💛「え?」
💜「照が変わろうとしてたの」
💜「ずっと見てたから」
照は思わず笑ってしまう。
💛「全部見透かされてるな」
💜「付き合い長いし」
しばらく二人で笑った。
風が静かに吹き抜ける。
照は一歩だけ辰哉に近付いた。
💛「これから先も」
💛「忙しくなると思う」
💜「うん」
💛「喧嘩もするかもしれない」
💜「うん」
💛「それでも」
照は真っ直ぐ辰哉を見つめる。
💛「何回でも」
💛「俺は辰哉を選ぶ」
辰哉の目に涙が浮かぶ。
💜「……ずるい」
💛「何が?」
💜「そんなこと言われたら」
💜「俺も同じことしか言えないじゃん」
照は優しく笑う。
💜「照」
💜「俺も」
💜「何回でも照を選ぶ」
二人は静かに笑い合う。
言葉はそれだけで十分だった。
照はそっと辰哉の手を握る。
今度は誰にも隠さず。
今度は迷わず。
辰哉も握り返した。
五年前、離れてしまった二人。
仕事を優先し、お互いを傷つけた日々。
それでも。
時間は二人を遠ざけるためではなく、もう一度出会い直すために流れていた。
半年間の遠距離。
すれ違い。
嫉妬。
不安。
目黒との出会い。
全部があったからこそ、二人は「信じること」の意味を知った。
駅のホームに電車が滑り込む。
照は辰哉の方を見る。
💛「帰ろう」
辰哉は笑顔で頷いた。
💜「うん」
並んで歩く二人の背中は、もう離れることはなかった。
⸻
数か月後。
支社では以前と変わらない日常が流れていた。
🧡「照にぃ!」
💛「どうした」
🧡「深澤さん探しとる!」
💛「また?」
照が会議室を覗くと、辰哉が一人で資料をまとめていた。
💛「終わった?」
💜「あと少し」
💛「手伝う」
💜「助かる」
そのやり取りを見た目黒は、小さく笑う。
🖤「やっぱり、お似合いだな」
もう胸は痛まなかった。
尊敬する先輩二人。
それが今の目黒にとって、一番しっくりくる関係だった。
康二がその隣で笑う。
🧡「めめ」
🖤「はい?」
🧡「ええ恋せえよ」
🖤「そうします」
オフィスには今日も笑い声が響く。
それぞれが前を向いて歩き続ける。
誰かを想うことも。
誰かに想われることも。
決して無駄じゃなかった。
⸻
完
コメント
4件
いわふかぁぁぁぁ! どっちかが浮気とかしなくてよかった😭

よかったですぅー💛💜 何度でもお互いを選ぶって 素敵ですよね🥰
美月ゆめかです〜!!🌸💕 完…完だって…!!😭✨ 第45話、もうね、照が「俺は辰哉を選ぶ」って言ったとこで泣いたよ…!! 五年前の後悔から、ちゃんと向き合って変わろうとした二人が、今度は迷わず手を握り合う…尊すぎて胸がぎゅーってなった…!! 目黒くんの「お似合いだな」も含めて、全員が前に進める終わり方、本当にほっこりしたよ…!! 絶対辰哉さん、素敵な物語をありがとうございます!!✨💜💛