テラーノベル
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桜は既に散り去り、病室から見えるのはひたすら水に打たれる葉っぱだけ。
“…今年は去年より早く梅雨入りしたね。”
目を閉じて暫くセミの鳴き声を愛おしそうに聞いていた母は、やがて俺を見て言った。
「自分の意見は、ちゃんと持つのよ。お母さんはいつでも貴方を見ているわ。」
どきりとした。
心を見透かされてるみたいだ。
「言われなくても、ちゃんと持ってるよ。」
意地を張って言う。
母はふふ、と笑った。そうね、と。
「論には様々な事を知って欲しい。楽しいことも悲しいことも、この世の絶望や矛盾も。」
少し難しい話だった。サマザマ?ムジュン?
母は再び微笑む。
「それ以外にも色々あるけどね、論。まずは、“今”について知って欲しいんだ。」
例えばほら聞こえるでしょ、雨の音。
コメント
1件
読み終わりました…🌙 病室のひんやりした空気と、母の優しい声がじんわり響いてくるエピソードでしたね。 特に「自分の意見は、ちゃんと持つのよ」の言葉に、論くんがどきっとする場面がすごく印象的で——心を見透かされているような感覚、すごくわかる気がします。 “今”を知って欲しいっていう母の願い、雨の音で終わる余韻が切なくて、続きが気になります。 第1話からこんなに静かに惹き込まれるの、素敵だなあって思いました🤍