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特別番外編②:『大江山の若頭、新居に突撃する』
ある日の午前6時15分。夜が明け、昼の世界が始まったばかりの静かなリビングに、突如として地鳴りのような爆音が響き渡った。「――お嬢様ァァ! 我が主の御子、荊棘お嬢様ァァ! 安否の確認に参りましたぞ!!」バリィィン!! と景気よくリビングの窓ガラスをぶち破って現れたのは、黒スーツをスタイリッシュに着こなした、大江山の若頭・茨木童子だった。相変わらず「お嬢命」の過保護な鬼は、片手に最高級の銘酒の一升瓶を抱えている。エプロン姿で朝食の片付けをしていた荊棘は、割れたガラスを冷ややかに見つめ、ゆっくりと振り返った。その金の瞳には、激しい怒鳴り声ではなく、底知れない、静かな凄みが宿っている。「……ちょっと、茨木。人の家の窓ガラス、何枚割ったら気が済むの。……そこ、早く片付けて。次やったら、うち、本気で怒るよ」「お、お嬢様……! その冷徹な眼差し、まさに酒呑童子様の覇気……! ああ、感無量でございます! ですが、なぜそのような人間の家事などを! 早く夜の世界へ戻り、我ら鬼の一族を――」「ひゃあぁぁ! 怖いヤクザな妖怪がリビングに不法侵入してきましたぁぁ!」そこへ、洗面所から歯ブラシを咥えたままの律が、涙目でガタガタ震えながら走ってきた。いつもの情けないヘタレモード全開で、すかさず荊棘の背中の後ろへすっと隠れ、エプロンの紐をぎゅっと掴む。律「神酒さん――じゃなくて荊棘ちゃん助けてぇ! 茨木が僕たちの愛の巣を物理的に破壊したぁ!」「律、下がっとき。……おい茨木、うちのツレを怯えさせんといて。ここはうちの家や。あんたの居場所なんか、どこにもおへんよ。さっさと帰って」荊棘が律を庇うように一歩前へ出た、その瞬間。二人の男の視線が、荊棘からは見えない角度でバチバチに火花を散らした。律(ヘタレ顔が完全に消え、世界を冷酷に見下ろす天才陰陽師の目になり)「(……おい角無し。僕がせっかくハッキングして隠した新居を、力任せに突き止めてんじゃねえよ。荊棘ちゃんの手料理の邪魔をするな。今すぐ重力結界で床に埋めてやろうか?)」茨木(安倍の呪力を察知し、狂気的なまでの鬼気で睨み返し)「(……おのれ安倍のクソガキ、お嬢の背中を盾にしおって! お嬢を人間の主婦のように飼い慣らしおってからに、貴様こそ今すぐ大江山の炎で焼き尽くしてくれるわ!)」「……? あんたら、またどないしたん。静かになったと思ったら、妙に部屋の空気が冷えてきたんやけど」荊棘が不思議そうに首を傾げた瞬間、二人は一瞬で元の顔に戻る。律「ひゃん! なんでもないですぅ! 茨木が怖くて寒気がしただけですぅ!」茨木「い、いえお嬢様! 少し不愉快な羽虫(陰陽師)が視界を横切っただけにございます!」荊棘は深いため息をつき、頭をガシガシと掻いた。「……ほんま、結婚しても手ぇかかる子ぉらやわ。茨木、帰る前にそこきれいに掃除しとき。律、あんたは早く服着替えて、お仕事行きぃな」「はーい!」と嬉しそうに返事をして着替えに走る律と、お嬢に命令されて悔しそうにホウキを持つ茨木。世界の前では「昼と夜の支配者」である二人も、この家の中では、男前な荊棘ちゃんに完全に握られているのだった。
コメント
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読了しました〜!😂💕 今回は番外編ってことで、新居に茨木が窓ぶち破って突撃って、朝から破壊行為すぎるでしょwww でも一番ツボったのは、荊棘ちゃんの「男前お姉さん」っぷり! 夜の世界の大物たちが二人とも、この家では完全に尻に敷かれてるの最高です(笑) 律くんのヘタレ顔が一瞬で陰陽師の目になる裏の顔もエモい……! 愛の巣守ってる感じがじわじわきます。続きも楽しみにしてますね〜!🌸