テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
常備菜として取っておくつもりだったフライと甘露煮を、かなり消費してしまった。
もちろんミーニャさんの『おかわり、ないかニャ』攻撃のせいだ。
6割は残ったので、まあ許容範囲内ということにしておこう。
さらにジョンに、クリスタさんについての説明をしておいた。
「あの人はエルフの、それもかなり老練な魔法使いのようだからさ。しれっととんでもない魔法を使っても、気にしないほうがいい。多分、魔法の常識が間違っている」
あと、ついでにこういった参考事項も付け加えておこう。
「ミーニャさんが名前を呼ばないのも、魔法的にそれなりの理由がある。名前を呼ばれると感知する、という魔法が存在するからさ。だから、そのクラスの魔法使いの話題を出す時は、あえて名前を呼ばないで指示代名詞で誤魔化す事が多いんだ」
「そんな魔法があるのか。エイダン、よく知っているな」
「C級試験を受けるために、全部の教本を最後まで読破したからさ。結構大変だった」
速読魔法なんて事は、とりあえず言わないでおく。
そしてそれ以外に、ミーニャさんからこんなお願いも出た。
「もしエイダンの魔法収納に余裕があれば、私の追加武器を持っていって欲しいのニャけれど、いいかニャ」
そのくらいは、全く問題ない。
「大丈夫です」
そして、ダブって購入しないよう付け加えておく。
「矢については明日、追加を買ってくるつもりです。ある程度は自作もしようとは思っていますけれど」
100本程度買ってきて、長さや重量バランス、使い勝手を確認した後、自分でも作ってみるつもりだ。
「お願いするのは、私の個人武器ニャのニャ。幾つか持って行けたら、場所と相手によって持ち替える事が出来て便利ニャのニャ」
なるほど。
確かにジョン用にという事で、色々な武器を持ってきていたし、クリスタさんも言っていた。
『剣も槍も、人並み以上に使います』
それなら、状況に合わせた武器なんてのを持っていても不思議ではない。
ジョン用に持ってきたり、ここで改造したりしたものの他にも。
「それでは持ってくるのニャ。まだ食べるから、食事はそのままにしておいて欲しいニャ」
昨日と同様、さっと姿を消す。
やっぱり塀を跳び越える最短ルートを使った気配。
そしてしばらくした後、やっぱり夜逃げスタイルで戻って来た。
「使う可能性があるものを、ひととおり持ってきたのニャ。獣人用だから、ちょっとだけ重い武器が多いのニャ。だから、無理はしないでいいのニャ」
確かに、持ってきた武器はどれもごつい。
長さ1.8m位の金棒とか、2m位の柄がついている戦闘斧とか。
全長1m位の一見普通の斧に見えるものは、同じ物が2つあるから、きっと片手用という事だろう。
普通の人は両手で使うのだろうけれど。
鉄の大楯もある。何というか、いかにも重そうだ。
この前ジョン用に持ってきて、ジョンが選ばなかった短い槍、長弓も持ってきている。
「……よく持ってこれましたね。こんなに重そうな物ばかり」
「重い方がダメージは大きいニャ。重量は正義なのニャ」
なるほど。確かに間違ってはいない。
重い武器を使える腕力があれば、だけれど。
やはり獣人は、普通人と腕力の常識が異なるらしい。
「これくらいなら問題ないです。持っていけます」
「あと今回は、重野営セットを持っていくと思うのニャ。あれは5人用で500kgあるのニャ。それと食料その他で、おそらく600kg位は運ぶことにニャるけれど、大丈夫かニャ」
それくらいは余裕だ。
しかし、知らない単語が出てきたので聞いてみる。
「重野営セットって、何ですか?」
「魔物・魔獣除け結界柱4本と、組み立て式の小屋のセットニャ。これの中なら、魔物や魔獣に襲われることはないし、外からの攻撃魔法も無効化されるのニャ」
「便利ですね。それなら夜間の見張りも必要ないですから。最近の上級冒険者は、そういうのを使うのが普通なんですか?」
ジョンの言葉に、ミーニャさんは首を横に振る。
「重くて、普通のパーティは持ち運べないのニャ。通常は新規のダンジョンが出来た時の避難所用に使うのニャ。2頭立ての馬車で運ぶ必要があるので、冒険者ギルドや国の出先機関が持って行って設置するのニャ」
「つまり、エイダンの魔法収納は、それだけ大容量って事ですか」
「B級で、それなりに万能な魔法使いでも、魔法収納の容量は体重の2倍がいいとこなのニャ。カテリナがそう言っていたから、多分間違いニャいニャ」
そう言えば、クリスタさんもそんな事を言っていたような気がする。
でも鍛えれば、1,000kgまでは拡張出来ると俺は思うのだ。
毎日16時間以上、フルに出し入れを繰り返していれば。
あくまで前世での経験でだけれども。
「それに普通の魔法収納は、生きたものを収納出来ないニャ。人間を生きたまま収納可能なんて魔法収納は、聞いた事がニャいのニャ」
これはまあ、神様に与えられた釣り用のチートだ。
だから仕方ない。
あ、でも聞いておきたい事が出来た。
「その重野営セットは、幾らくらいするんですか。これからの冒険者生活で使えそうなら、欲しいと思うのですけれど」
「市販はされていないのニャ。重くて、通常の冒険者パーティでは使えニャいから仕方ニャいニャ。
ただ、構造はそう難しくニャいのニャ。組み立て式の頑丈な小屋と、純銀の結界柱だけニャのニャ。だから、エイダンなら作れると思うニャ」
よし、いいことを聞いた。
これを手に入れれば、夜間に釣りに行った際、宿営するのが楽になる。
二泊三日の間に構造を覚えて、自作出来るようにしておこう。
銀を入手するのに、お金がかかりそうだけれど。
「食料とかは、ギルドの方で用意すると言っていましたよね」
「あ、そうニャのニャ。もちろんギルドの方でも、足りなくはニャい程度に用意するのニャ。でも、初心者講習よりは質が上ニャけれど、量はいまいちの可能性が高いニャ。エルフは食べなくても、周囲の魔力を吸収して生きていけるニャから、食に気を使わニャいのニャ」
危ない危ない。これは聞いておいて良かった。
「わかりました。なら、パンや副菜をある程度用意しておきます」
「魚がいいのニャ!」
「はいはい」
明日、釣ってこよう。
「それじゃそろそろ、ごちそうさまなのニャ。エイダンが来てから、食生活が向上したのニャ。それでは明後日から、よろしくなのニャ」
「わかりました。それではまた」
「お休みなのニャ」
ミーニャさんが、塀を跳び越えるルートで消えていく。
そして残ったのは、空の皿が大量。
「洗うのを手伝おうか」
「いや、これは魔法で出来るから大丈夫だ」
収納して魔法収納内で洗った方が楽だし、汚れない。
「あと、補食、相当多めに用意した方がいいな」
「ああ」
ジョンの言う通りだ。
今日もミーニャさん1人で、俺とジョンを合わせた倍くらいは食べきった。
このくらい食べる事を前提に、相当量を用意しておく必要があるだろう。
「何なら、俺も金を出すから買ってくるか?」
「いや、後で大丈夫だ」
明日の早朝は、舌平目拾いではなく、釣り歩きをすることにしよう。
朝まずめは、間違いなく釣れる時間だ。
砂浜より、港近くの深さがある場所の方がいいかもしれない。
魔魚カンディルー相手ではなく、アジあたり狙いの投げサビキとか、カゴ釣りとかで。
何なら、同時に投げ釣りの竿をセットするのもいいかな。
よし、ならばそれにふさわしい仕掛けを作るとしよう。
明日早朝に備えて。