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翌日、俺は約束どうり会社近くの公園へ行った。
昨日出逢った所に伊華は座っていた。
「伊華、お待たせ」
「っ!独華!全然待ってないんね、ちょうど今来たとこなんね」
昨日に比べると大分明るいなぁ~と想いながら、昨日、兄貴に教えてもらったことをしっかり話そうと決意を決めた。
俺は一息ついてから、口を開いた。
「あのな、昨日、伊華の姉さんの王華さんの事を、俺の兄貴に聞いてみたんだ」
「それでさ、生きてるって、元気にしてるって聞いたんだ」
伊華の目をしっかりと見つめて、できるだけおおらかな声で話した。
「ほんと、なんね、、、?」
「でさ、明日、京都の先斗町に来るんだって」
「ほんと?!io、姉さんに会いたいんね。でも、姉さんはきっと、ioのこと嫌いだから、今まで音沙汰なしだったんね」
さっきまでの嬉しさと驚きが混じった眼差しと、声ではなく、悲しみと自虐が混じった苦しそうな雰囲気になっていた。
俺は、何も言えなかった。ここで否定なんて、完全にできない。かと言って、肯定なんてしたら最低だ。
思考を巡らせて、やっとでた答えが。
「会って確かめてみよう。不安なら、俺もついて行くからさ」
なんで俺はこんなことを言っているんだろう。俺と、主と、兄貴以外はもうそれ程心に留めないって決めたのに、守るものが多いと守り切れないから、同情もしないって決めたのに。
伊華に何かしてあげたいって思うこの感情は何何だろう。
「独華が付いて来てくれるんなら心強いんね。宜しくなんね!」
嬉しそうに伊華ははにかんでいた。
あ、分かった。この感情は、主に向けてる、加護欲だ。弱くて、脆そうで、危なくて、だから、ほっとけないんだ。
でも、主に向けてるのとは、少し違う気もするような。
伊華を心配させてはいけない。そう思って俺はすぐに笑って、「俺こそ宜しくな!」って言った。
暫く二人で雑談をして俺は家に帰った。