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あれ…
きづかぬうちに…
とろあえずすたーと
「ほら、できたぞ」
なつの声と一緒に、キッチンからいい匂いが漂ってきた。
「……朝飯」
こさめが小さく呟く。
そういえば、ちゃんとした朝ごはんを、誰かと一緒に食べるなんて、いつぶりだろう。
「行くぞ」
なつが振り返る。
いるまは立ち上がろうとして――
「……っ」
一瞬、ふらついた。
昨日のこと。過去の記憶。全部が、まだ体に残っている。
「いるまくん」
すぐに、こさめの手が腕を支えた。
「大丈夫?」
近い。
心配そうな顔。
「……平気」
そう言ったけど、こさめは手を離さなかった。
そのまま、支えるように隣を歩く。
リビングのテーブルには、全員が集まり始めていた。
「おはよー、いるま」
すちが手を振る。
「……おはよう」
少し緊張しながら返す。
前より、怖くない。
前より、この場所にいてもいい気がする。
でも。
「……」
らんが、ちらっと見てきた。
すぐに目を逸らされた。
胸が、少しだけ痛んだ。
「ほら座れ」
なつが椅子を引く。
いるまが座ると、こさめは迷わずその隣に座った。
距離が近い。
肩が触れそうなくらい。
「……」
どきどきする。
「いただきます」
なつの声で、朝ごはんが始まった。
静かな時間。
でも、不思議と嫌じゃない。
「いるまくん」
こさめが小さな声で呼ぶ。
「なに」
「これ……美味しいね」
嬉しそうに笑う。
「……ああ」
それだけのことなのに。
その笑顔を見ているだけで、胸が満たされていく。
そのとき。
「……こさめ」
らんが、ぽつりと呼んだ。
こさめが顔を上げる。
「なに?」
「……いや、なんでもない」
そう言って、また視線を落とした。
空気が少しだけ揺れる。
いるまは、気づいてしまった。
らんが、こさめを見ていたこと。
ずっと前から見ていたような目だったこと。
そして。
今は、自分を見ていること。
「……」
胸の奥が、ざわつく。
どうしていいかわからない。
ただ一つ、わかるのは。
隣にいる、こさめの温度だけだった。
こさめが、テーブルの下で、そっと手を触れてきた。
驚いて見ると、こさめは前を向いたまま、小さく指を重ねてきた。
まるで、確認するみたいに。
――ここにいるよ。
そう言われた気がした。
いるまは、少しだけ迷って。
そして。
その手を、握り返した。
こさめが、ほんの少しだけ笑った。
その瞬間。
胸の奥の不安が、少しだけ消えた気がした。
でも同時に――
新しい何かが、始まってしまった気もしていた。
コメント
2件
何が始まるんd(((((殴 (いまうぇぶだからあんまはーとおせない....泣)