まだまだ大人に縛られている俺らにとって、『社会人彼氏』というのは結構なステータスだ。
俺にはめちゃくちゃ可愛がってくれる社会人の彼氏がいる。
俺の付き合いをヤバいと噂する奴もいたけど、嫉妬だと思って気にしていなかった。
しばしば『お客さんの相手』を頼まれてしてたし、仕事が忙しいから向こうに呼ばれた時しか会えないけど、俺が稼ぐと旅行に連れて行ってくれたりもして、高校生同士の付き合いでは到底できない非日常を楽しんでいる。
今日は彼と外食。
こないだ相手した人が延長で積んでくれたから、ご褒美に好きなもの食べなと言ってくれた。
『お前の学校さ、宮舘財閥の息子入ってきただろ』
🩷「うん」
『そいつと仲良くなって親父にコネ作って稼いできな、ハワイ行けるぜ』
🩷「ほんと!?」
『買い物もいっぱいできるし。こんなのもまた買ってやれるかも』
彼は俺の手首に着けられたハイブランドのブレスレットを指で引っ掛けて嬉しそうに笑った。
🩷「すげぇ!俺頑張る!」
さて、奇しくも宮舘財閥の息子は同じクラスの転入生だったんだけど、何せ立ち居振る舞いから育ちの良さがにじみ出てるし生活階級が違いすぎてみんな近寄れない。
お坊ちゃんもそれに慣れているかのように1人で静かに過ごしている。
行き帰りは校門前にリムジンが停まる。漫画みたいだ。
俺は気にせず話しかけた。
話してみると何でも知っていて、笑顔は優しくて、金持ちなのを鼻にかけていなくて、すごく魅力的な人間に思えてきた。
いつしか『涼太』と名前で呼び、いつもくっついているようになった。
親父に取り入るために近づいたのに、親とも折り合いが悪く彼氏の噂で遠巻きにされている俺にとっては、こんなに魅力的な涼太と友だちでいられる事が嬉しかった。
今日も他愛のない話をしながら一緒に帰る。
『佐久間はヤバいよ』と涼太に忠告した奴は何人かいたけど、涼太は気にしていないようだった。
たまに彼氏に呼ばれて『お客さんの相手』に行く時は、バイトなんだーと誤魔化していた。
❤️「佐久間は、何のバイトしてるの?」
🩷「えー、接客かな!彼氏と遊ぶための金欲しくて!」
うまくはぐらかしたと思っていた。
❤️「佐久間さ、俺のお父さんに近づこうとしてる?」
🩷「え?えーっと、なに?どういうこと?」
さっきまで優しかった涼太の目が鋭い。
なんで、どこでバレたんだろう、と考えているうちにその目は憂いを帯びた。
コメント
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さっくんもしかしてヤバイお仕事してる⁉️もしそれならそんな事させるのは彼氏でもないからね? それにしても今回は舘様は財閥の息子なんね❕国王はなんにでもなるんだね笑
宮舘財閥🤣🤣🤣🤣🤣