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#余命
「はい、うさちゃんの分」
「わっ!美味しそ~!!ありがとうございます!」
相変わらず笑顔が眩しい。
「ここじゃ暑いですし、あそこの丁度日陰になってるベンチで食べましょ…!」
その言葉に頷くと、宇佐美はトコトコと目の前の公園のベンチに向かっていく。
その姿が犬ころみたいで、なにしても可愛いな…と思わず頭を抱える。
つい、その姿に見惚れてボーッとしていたせいか
「先輩~、どうしたんですかー!そんなところいたら溶けちゃいますよー?」
先にベンチに座った宇佐美がクレープを持っていない片方の手を上げて、俺を呼ぶ。
俺はハッとして「今行くよ」と、ベンチへ向かう。
宇佐美の隣に腰掛けると、お互いにいただきますをして、クレープを口に含む。
「お…案外イケる」と独り言ちる俺とは反対に
「ん~っ!!おいしすぎます~!!」
宇佐美は今にも蕩けそうな表情で、頬を手で抑え、幸せそうに微笑む。
周りからはわざとらしい、とでも言われそうな声と仕草だ。
前の俺なら「大袈裟すぎ」だとか
「あざとい女」なんて思っていた筈だ。
なのに、今は違う。
もっとその表情を眺めていたい
もっと色んな表情を隣で見せて欲しい
なんて渇望してしまう。
なんから、前の俺ならクレープなんて自分から食べようと思わなかったんじゃ?とすら思う。
そう言えばそうだ。
女の子とデートするにしろ、相手が甘いものが食べたいと言えば相手の分だけ買って
自分は適当にスマホを眺めていた。
表情になにひとつ興味なんてなかったし、ただお互いに顔が良くて、ヤれればそれでよかった。
だから優しくしたし、甘い言葉もかけた。
そんな浅い人間関係しか育んでこなかったせいなのか。
相手が笑うとドキッとして
不安そうな表情をすればなんでもしてやりたくなって
泣かれると笑わせたくなって
隣にいると触れたくなって、でも適当に扱える相手じゃない。
どうしたら喜んでくれるのか
俺のことがどうしてそんなに好きなのか
なにをしたら困った顔をするのか
いつも何をしているのか
好きな食べ物は甘い物以外に何があるのか
俺はどうしてこいつを好きなのか。
そんな、前ならどうでもよくて考えもしなかったことが浮かんでくるのは、宇佐美ただ一人だけだ。
(変わりすぎだろ、俺…)
自分の心境の変化に驚いていれば、手元のクレープは残るところ最後の一口になてっいた。
隣を見れば、宇佐美はまだ半分を食べきっただけのようだ。
俺が最後の一口を食べ終わり
「うさちゃん、全部食べきれそう?」と揶揄うように声をかければ
宇佐美は口の周りにクリームをつけたまま、唇を動かす。
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