「サンキュ鬼塚。助かった。」
「私の声ってよく分かったね。」
朝の喧嘩を110当番するふりをして回避させた鬼塚。登校ルートが同じことに気付き、日直をした日以降2人で登校することが増えた。そしていつものメンバーも合流していき揃って教室へ。会話が盛り上がるなかで2人の視線がぶつかった。
日直、号令~。
その言葉で我に返り、2人顔が赤いまま席についた。
その日の帰り道、コンビニから出た鬼塚は対向車線を花を持って歩く一護を見つけ声をかける。
「そのお花どうするの??」
「供えにいくんだ。」
と供えた場所は電柱。
「ここで交通事故があって、男の子が亡くなったんだ。」
「霊感強いんだったね。どんな子だったの??」
「母親思いの良い子だったよ。供えてくれた花を不良にぐちゃぐちゃにされたからって一緒に追い払ったこともある。」
「すごい話。さぞ不良たちは怖い思いしたでしょう。」
「一目散に逃げていったよ。それ以来荒らされなくなったし。」
「今もその子、いる??」
「もう居ない。」
「成仏した??」
「そう願うよ。」
鬼塚も手を合わせてその場を離れる。
「悪霊も見えるの??」
「見えるよ。」
「そういう時ってどうしてるの。」
「なんつーか、成仏できるように徐霊??してる。」
「何でもできるんだね。」
「まぁ、出てきてほしくないってのが正直な所。」
「私には霊感ないけど。見えすぎるのも大変だよね。」
「そうなんだ。でも俺物心ついた時から見えてるから慣れっこだよ。」
と微笑む顔は悲しげで。
「付き合ってくれてありがとな。」
ちょうど分かれ道にさしかかり、一護はいつもの笑顔に。
「こちらこそありがとう。またね。」
帰宅後。
え、大丈夫??
鬼塚は母の声で気がついた。服も着替えないまま洗濯物を畳む途中で寝てしまっていたことに。
「あー。大丈夫。風が気持ちよくってさ。」
残りの洗濯物を畳んで、自分の分を持って部屋に入る。
「(夢に黒崎君出てきちゃったよ…!!しかも…なんてこったいっ!!)」
お色気な夢を見てしまい、思わずへたりこむ。
「(そう。夢でできたことがしたいくらい、好きになっちゃったんだよな…。)」
これまた、晩ごはんができたと言われるまでへたりこむことになった。
一方、黒崎家。
「お兄ちゃん良いことあった??」
「別に。何でだ??」
「最近そんな嬉しそうな顔してるから。」
「え??」
「彼女できたんだ??」
「ち、げーよ!!」
かりんは悪戯に笑って、サッカーをしに家をとびだした。ゆずは口元をマダムの如く手で覆い、ニヤついている。
「今日の晩ごはん、お兄ちゃんの大好物にしようかな。はい買い物お願いします。」
「だから違うって。」
否定しながらも財布とエコバッグはもらい、買い物に行く。
「(あいつ、好きなヤツいんのかな。)」
鬼塚が自分を呼ぶ声や姿が頭をよぎる。クラスメイトの1人から、護りたいという存在になりつつあった。
2人の恋が成就するのはそう遠くない。
コメント
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えぇーここで、終わりぃ?