テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
彼の指が私の腕に食い込んで痛い。
けれど、それ以上に、今まで見たこともないほど激しく怒った彼の姿に、私は言葉を失っていた。
「……シャ、シャーロット、なにをそんなに怒ってるの? 痛いわ……! 離して……」
馬車に放り込まれるように押し込まれた私は、扉が閉まると同時に、彼に壁際に追い詰められた。
狭い密室の中で逃げる場所などどこにもない。
大きな彼の身体で覆い隠され、濃い影が私を丸ごと呑み込んでいく。
「お前は危機感がないのか。俺が少し席を外していただけであの様では先が思いやられるぞ」
「だ、だって……!話しかけられたら無視するわけにも……」
「上手く交わせばいい話だ。愛想を振りまく必要はない」
「そ、そんなやり方、習ってないし……!」
「なら、今ここで俺が教えてやる」
彼の手が伸びてきて、私の顎に冷たい指先が触れる。
「ひゃっ……!」
まるで神経を直接撫でられているような、ゾワゾワとした悪寒が走る。
流れるような動作で腰に手を回されて密着させられ、触れられた箇所がジンと熱を帯びてくる。
「今のお前は自分の価値も、その危険性も理解していないようだからな。お前は俺のもので、俺の所有物だ。それを他人に安売りするな」
触れている間、彼の口調はどこまでも冷たく
表情も氷のように硬いのに
瞳の奥には獣じみたドロドロとした熱が渦巻いているように見えて、私の背筋に甘い痺れが走る。
「……っ、そんなに、怒ること……?」
私の弱々しい反論に、彼の動きが止まる。
サファイアの瞳の奥で青い炎が揺らめくように、微かに動いた。
「当たり前だろ。お前は俺の女だ、他の男に触れさせる義理はない。……一秒たりとも、な」
そう言って、彼は私を壊さんばかりの力で抱き寄せると
背中に回された手にさらに力が入り、私の身体は彼の胸板に完璧に押し潰された。
次の瞬間、彼の唇が私の耳朶に触れた。
「……ひゃっ!? んん……」
冷たい吐息が耳の奥を灼く。
まるで蛇のように滑り込む舌が、私の聴覚ごと支配しようとする錯覚を覚えた。
彼の左手は私の腰を掴んだまま、逃げ場を殺すように固定している。
右手は私の頬に添えられていて、親指がゆっくりと、威圧的に下唇をなぞる。
「……さっきの男が触れた感触を覚えてるだろ…あんなものは全て、俺の色で塗り替えてやる」
宣言のような囁きの直後、彼の唇が私のそれに重なった。
強引で、荒々しくて───
でも決して乱暴なだけではない。
むしろ驚くほど技巧的で
獲物を捕らえた豹が最後の一滴まで搾り取ろうとするような、執拗なまでの貪欲さを伴っていた。
「ん……っ……ぅう……っ、んむ……」
思わず漏れた声は、私自身のものとは思えないほど熱く、甘い。
唇の端から零れそうになった唾液を、彼の熱い舌が舐め取りながら、さらに深い侵入を試みてくる。