テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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凛と翠

第10話 - 第10話凛から翠

2024年07月11日

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碧井りむ

おつかれさまです。お互い慌ただしくて、なかなか飲みに行く時間取れませんね。焦らすつもりは全然無いのでメッセージ送ります！

ここからは晴人さんや翠さんと色々話して、私が思ったことや、変わったことについて、聞いてください。

まず真冬さんのこと。翠さんはそのまま事実を受け止めていて、すごいな、と。真冬さんへの気持ちも、彼への気持ちも、自分の気持ちも。もちろん、翠さんが話してくれたことは全部私のブラックホールの奥深くにあり、誰かに伝わることはないです。そこは全面的に信頼してもらえればと思います。それで私も思ったんですが、私ももっと素直になっていいのかな、と。

ただ晴人さんは素直過ぎる笑。でも心がない感じ。論理的に女性を扱えると思っている。恋愛はゲームだとはっきり言っていました。そんな人だから素直になれるのかなと思ったんです。

一方、甘みもなく一定温度の私の彼は、好きも何も言えない。誠意みたいなものであえて言わないのかもしれませんが、はっきり言ってそれは恋愛には役に立たないどころか害になっているし、結婚するわけじゃないんだから。誠実な態度がこの関係に果たして必要なのかって思うんですけど、でもやっぱりどうしても好きで。どうしても信じてしまう。もう、彼を外そうとしても外れないんです。

だけど、私も平気で晴人さんと飲みに行けたりするんですよね、口説かれるのを楽しんだり。かと思えば「彼がどんなに好きか」みたいな話を聞いてもらったり。要するに遊びです、遊び。お互いそう言っていますが笑。私にもこんなことができるんだ、って思いました。

夫に対しては浮気ではないですが、彼氏に対しては、私の基準で言えば、浮気ですよ。寝てないですけど、他の男の人と何度も会っているので。自分がされて嫌なことは浮気です。

しかし、それでラクになった部分もあるんです。彼氏に清廉潔白であろうとしたら、苦しかったわけですよね。待つばかりだし、許すばかりです。それで何が得られるわけでもない。我慢し損なんですよね。既婚者同士なのに、学生みたいな恋愛は無理だ。それに、彼が何をしているか、実際のところは分からない。仕事に追われているのは分かっていますが、彼が何をどう考えているか、それは分からない。頑なに信じる必要もないし、彼に他に女が居たっていいわけです、本来。

それで、いろいろ解禁しよう、と思いました。した方がいいんじゃないか、とずっと思ってはいましたが、踏ん切りがついた感じです。晴人さんのこともそうだし、マッチングアプリとか、合コンとか、やりたいことは全部やろう、と。なんなら、他に男を作ってもいい、とまで思っています。それでやっと、ラクに彼を待てる。裏を返せば、それほど彼のことが好きです。馬鹿みたいですが、どうもそういう人に出会ってしまったようです。

でも、あれこれやってみた結果、なかなか好きになれる人には出会えませんね。まあ始めたばかりですが、やってみたことで、「別に男じゃなくてもいいか」って気持ちが芽生えました。早くもうんざりしました。好きでもない男たちに会って、何が楽しいんだ、と。逆に言えば、彼を好きになったことは、本当に偶然の幸運に過ぎなかったんだな、滅多に起こることではないんだな、ということも、やっと分かったんでしょうね。そうかな？とは思っていましたが、その確証を得たという感じでしょうか。

それでね、彼のことをお守りみたいに心の奥に持って、でも普段は忘れて、他の楽しいことをしよう！みたいな気持ちになっています、最近は。やっといい形になれたのではないでしょうか！！！と自負しています。ちょこっと思うくらいでいい、遠くから好きでいるくらいでいい、それがラクだし、美味しいなあ、とかね。

恋も、男も、欲しがればキリがなかった。今もそうです。彼とのあれこれは欲しい。でも、ちょっと気は済んだ。選択的に彼を待っているんだ、という状態になったわけです。我慢してる、じゃなくて。待っている方がマシだから待っている、って感じですかね笑納得できれば、ラクにもなれたんです。

ずいぶん長く熱く語ってしまった笑

でもそういうことなんです。翠さんも私の感覚に近いんだろうなと勝手に思ってる。

っていうか、林さんのことすっかり忘れてたけど、明希さん大丈夫かな。私からはそんな話できないし。明希さんから何か言ってくるまでは、そっと見守ってるけどね。

あー、早く打ち上げの日が来ないかな。翠さんも明希さんも顔見て話したい！