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「なあ、カルト!もう夕飯だぞ!来ねェとオレがお前の分も食っちまうからな!」
ドアを激しくノックしながら声をかけてみるがカルトからの返事はない。
「……カルト、入るぜ」
いつもなら勝手に開けるなと言われる扉をゆっくり押し開く。
相変わらず整理整頓されておらず、足のふみ場もないほど本や書類が散らばっている床を歩いていく。
珍しくベッドの上で眠っているのかと思い覗き込むと、そこには目を閉じて眠っているカルトがいた。
普段なら見られない珍しいカルト。
「……」
ゆっくりベッドの縁に腰かけて、寝ているカルトの髪をそっと撫でる。
指の間をさらりとすり抜けていく髪が気持ち良くて何度も繰り返してしまう。
「おれしか、見てねェんだよな」
そう言うと少しだけ心が満たされるような気がした。
それと同時に胸の奥がきゅぅ、と締め付けられるような感覚に襲われる。
(何だ、これ)
心臓を掴まれたかのように痛む胸に違和感を覚えながらも、眠っているカルトをゆっくりと眺める。
「……手、デカいし、まつ毛も長ェんだな…………」
おれは185cmで、カルトは214cmだから当たり前といえば当たり前なのだが、改めて見ると本当に大きい。
「……ん、……エース?」
「あ、わり、起こしちまったか」
「いや、大丈夫だ。というかお前夕食の時間だろう?行かねェのか?」
「んー、なんか今日は腹減らなくてよ」
そう言っておれはまたベッドに座った。
するとカルトも起き上がって隣に座り直す。
「……なぁ、エース」
「ん?」
「オレのこと好きか?」
「は!?」
いきなりの質問に思わず素っ頓狂な声が出てしまった。
カルトは真剣な表情でこちらを見つめてくる。
「いや、そういう意味じゃねェんだけどよ。
一人の人間として、どう思ってるかって話だ」
「な、んだよ、びっくりさせんじゃねェよ……」
「で、答えは?」
じっと見つめられながら催促されると、何故か顔に熱が集まってくる。
恥ずかしくて目線を逸らすと、顎をぐいっと掴まれて無理矢理視線を合わせられた。
綺麗な瞳の中に映る自分が見えて、余計に羞恥心が煽られる。
それでもこの真っ赤に染まっているであろう顔を見られるよりかはマシだと、諦めたように口を開いた。
「……す、すきだよ」
「オレも好きだぜ、エース」
「お、おう……」
「……ふっ、お前照れてるのか?」
そう言って笑うカルトを見て、おれもつられて笑ってしまう。
恥ずかしさの奥で、グツグツと燃えたぎっているこの気持ちは何なんだろう。
……胸が締め付けられるような切なさは、何なんだろう。