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八雲紫は扇で口元を隠しながら、怪しげに微笑んだ。
「異世界の王、といったところかしら? 貴方の存在、この世界の『境界』を揺るがしているわ。少しばかり、お掃除させてもらってもいいかしら?」
紫が指を弾くと、空間に無数の「目」を宿した隙間が現れ、そこから大量の標識や電車、さらには得体の知れないエネルギー体の弾幕がリムルを襲う。
《告。個体名:八雲紫による事象干渉を確認。『境界』という概念を用いた攻撃です。ですが――》
シエルさんの声には、どこか挑戦的な響きが混じっていた。
《マスター、私に少しだけ権限を委ねてください。彼女の『境界』をこちらの『法』で上書きします》
(ああ、任せるよ。シエルさん!)
リムルが頷いた瞬間、彼の周囲の空気が一変した。
紫が放った「生と死の境界」を宿した弾幕が、リムルの目の前で霧のように消えていく。
「な……!? 私の境界を消したというの?」
紫の余裕の表情が初めて驚きに変わる。
「消したんじゃないよ。シエルさんが、その境界の定義を『無効』に書き換えたんだ」
リムルは虚空に手をかざす。シエルの演算によって最適化された、対・八雲紫用のスペルカードが発動した。
「いくぞ! スペルカード:虚神『全知全能の境界線(シエル・システム)』!」
リムルを中心にして、幻想郷の法則とは異なる「絶対的な秩序」の結界が広がる。紫がどれだけ隙間を作ろうとしても、その隙間自体がリムルの魔力によって封鎖され、逆に紫の背後にリムルの攻撃魔法が転移して現れる。
「隙間を逆に利用されるなんて……くふふ、面白いわね。本当に、貴方は何者かしら?」
紫は冷や汗を流しながらも、楽しそうに笑う。彼女はスペルカード「深弾幕結界 -夢幻泡影-」を展開し、全力を出そうとしたが――。
《予測完了。これ以上の戦闘は幻想郷の維持に影響を与えます。マスター、強制終了を推奨します》
シエルの助言を受け、リムルは指をパチンと鳴らした。
すると、激しい弾幕の嵐がピタリと止まり、あたりには静寂が戻った。
「そこまでにしよう。あんたを倒すのが目的じゃないし、俺はただ、この場所で楽しく過ごしたいだけなんだ」
リムルは人間態の姿で着地し、紫に向かって手を差し出した。
「どうだ? 戦いの代わりに、俺の国の美味い酒でも飲まないか?」
紫はしばらくリムルを見つめていたが、やがて扇を閉じ、ふふっと笑った。
「……負けだわ。そんな美味しそうな提案、断る理由がないもの」
霊夢や魔理沙たちも、二人の圧倒的な戦いに呆然としていたが、「酒」という言葉を聞いて目を輝かせた。
「おい、その酒、私にも飲ませろよな!」
「異変解決の後は宴会って決まってるのよ!」