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「いやー、結構買ったね」
袋を持ちながら、ゆあんくんが笑う。
「これでしばらく困らないね」
のあさんも満足そうに頷いた。
「帰ったら何作る?」
「またうりに任せるか?」
「おい、俺ばっかじゃねぇか」
そんな軽いやり取り。
いつも通りの、にぎやかな時間。
——のはずなのに。
「……」
ゆあんくんは、少しだけ後ろを見た。
そこには、もふくんとうり。
2人で並んで歩いている。
「(なんか……)」
さっきのことが、頭から離れない。
うりの、あの目。
もふくんの、あの一言。
「……どうしたの?」
不意に声をかけられて、顔を上げる。
「え、あ、いや……」
もふくんだった。
いつも通りの、優しい笑顔。
「なんでもない」
「そっか」
それ以上は聞いてこない。
ただ、それが逆に——
「(なんか、変だな……)」
そう思わせた。
―――
その帰り道。
ふと、前の方がざわついた。
「え、なに?」
「どうした?」
人が集まっている。
何かトラブルが起きているらしい。
「ちょっと見てくる」
誰かがそう言いかけた、その時。
「行かなくていいよ」
もふくんの声。
「え?」
「関わらない方がいい」
迷いのない、はっきりした言い方。
「でも……」
「大丈夫。すぐ収まるから」
その一言。
根拠なんて、どこにもないはずなのに。
「……」
なぜか、誰も反論できなかった。
「……行こ」
もふくんが歩き出す。
自然と、みんなもついていく。
そのまま、その場を離れた。
―――
少し離れたところで。
「……ほんとに大丈夫だったのかな」
のあさんが不安そうに呟く。
「まあ、もふくんが言うなら……」
ヒロくんも少し考えながら答える。
「……」
ゆあんくんは、振り返った。
さっきの場所は、もう見えない。
でも。
「(なんであんな言い方だったんだろ)」
もふくんは、知っているようだった。
何が起こるか。
どうなるか。
まるで——
「(経験したことあるみたいに……)」
「……ゆあんくん?」
「え、あ、ごめん」
声をかけられて、慌てて前を見る。
その先。
もふくんとうりが、並んで歩いている。
そして。
「……ほんと変わってねぇな」
小さく、うりが呟いた。
「うり?」
「ん?なんでもねぇ」
いつもの笑顔。
でも。
「……」
もふくんは、何も言わなかった。
ただ少しだけ。
目を細めていた。
その表情に——
誰も、気づかなかった。