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ホラー映画
ある日のこと
「新しく始まったホラー映画を見にいこう。」
とメイが言い出した。何時もならアユかチイが言い出す事柄に聞いていた四人は聞き間違いではないのかと思わず聞き返す。
「え?ごめん。何て?」
少し声が震えていたようにも思うがそれ以上に四人の思いは「聞き間違いであってくれ」と言うものだった。
「だから、映画に行こう。」
ハッキリと告げられた言葉にユユカとソラはその場に崩れ落ち、チイは呆然、アユは「何か悪いものを食べたんじゃないか!?」とメイに詰め寄った。
メイは何故こんなことになっているのかいまいち把握しきれていないが
「映画行こうって言っただけなのに……。」
とため息をつく。
「メイが言うってのが想定外過ぎて理解が追い付かない!!」
「あ、そう。」
メイは暫くこの状況を受け入れることにした。
一番に落ち着きを取り戻したのはアユだった。
「で、新しく始まったホラー映画だよね?」
「うん。」
「あれ、シリーズものだったよね?」
「そうだっけ?」
「そうなんです。」
詳しくまでは知らなかったようだがメイが見たがるのだから。といくことを決めたアユは如何にしてユユカとソラを言いくるめるかを悩んだ。
次に落ち着きを取り戻したのはチイだった。我に返ったチイは
「行こう!映画行こう!」
と直ぐに目を輝かした。アユとチイは最初から反対しないことは予想できていたのでメイは心配していなかった。むしろ未だに混乱から回復していないユユカとソラがどうするのかが気になっていた。
「連れてきゃいいんだよ。」
メイとアユの悩みを感じ取ったのかチイは笑う。その笑顔が悪人面だったことは黙っていようと思った二人はユユカとソラに大人しく犠牲になってもらおうと心の中で合掌したのである。
混乱から回復していないユユカとソラをアユが引きずるようにして映画館に連れてきた。チケットはチイとメイが先に購入していたためそれぞれの座席に座る。
そこでやっと二人は混乱から回復した。
「「はっ!?」」
此処は何処だと言わんばかりに辺りを見回す二人の様子を見ながら
「おっそ。」
「まーまー。良いじゃないの。私らだって困惑したんだし。ほーらリラックスしてー。」
「そんなにおかしいことなの?」
三者三様の反応を返すのだった。
状況を理解し、逃れるには手遅れだと気付いたユユカとソラは映画がおわるまで大人しかった。無論、驚くところは驚いていたがそれくらいだった。
「んーどうしたんだろうね?」
「さぁ?」
映画で盛り上がりたいアユとチイだが異様に大人しいユユカとソラが気にかかる。
「………これからはメイも危険。」
「メイ危険。」
譫言のように何度も繰り返し言う言葉に二人は安全と思っていたメイからの提案が余程堪えたのだろう。と苦笑する。
今回の提案者でありユユカとソラの不幸(?)の原因となったメイは見たかった映画が見れたからなのか嬉しそうに前を歩いている。
「「………。」」
二人が怨めしそうにメイを見るもののそれに気付いた様子はなく鼻歌を歌いそうな勢いである。
世にも珍しいそんな構図を見ながら
「こんなこともあるんだねー?」
「珍しいこともあるもんだねー?」
とチイとアユが笑いながら語っていた。