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深瀬視点(若干遡ります)
「ふーさん!」
「あれ⋯たっくんと今日同じ現場だったんだね!
もしかしていつもの?」
「する!」
俺が両手を広げると何のためらいもなく、
その腕の中に星崎くんがすっぽりとおさまった。
この距離感になるまで三年もかかったが、
こうやって後輩に頼り、
慕われるのはやり気分がいいものだ。
星崎くんがきつい匂いのする香水を嫌うため、
本当は清潔感のあるソープ系の方が好きでも、
香水を彼の好みに合わせていることは秘密だ。
俺の腕の中で匂いを堪能するように、
鼻で深く息を吸い込む。
(こういう無防備な仕草が可愛いな)
俺たちは数秒間だけ抱き合って離れた。
二人の間に流れる空気感はとても穏やかで心地よかった。
「それって新曲の衣装ですか?
すっごく格好いいです!」
「へへっ⋯そうなんだよ。
俺も気に入ってるから嬉しい!
たっくんも頑張って」
キラキラした目で、
興奮気味に前のめりになる星崎くんが、
興味津々とばかりに俺の衣装を褒めるものだから、
何だか俺は照れくさいやら、
恥ずかしいやら、
返答に困ってしまった。
(でもこうして褒められるのは嬉しいな)
もっと一緒にいたい。
話がしたいという願望からか、
俺の口が勝手に動いていた。
「そういえば会うのも久しぶりだから、
近いうちにご飯でも食べに行こうか」
「行きたい!
楽しみです」
俺の誘いに子供のようにはしゃいで、
嬉しそうな反応を返してくれる星崎くんに、
俺もつられて笑顔になった。
彼はある時期からマレーシアに渡り、
アメリカで五割、
マレーシアで四割、
日本で一割の仕事をこなしており、
海外生活が長いためきっと日本食が恋しいはずだ。
和食のお店がいいかな。
どこに連れて行こうかと思案していた時だった。
やけに視線を感じてそちらに目を抜けると、
嫉妬丸出しの大森くんと目が合った。
星崎くんが大森くんよりも俺に懐いていたため、
優越感から頬が緩むと、
さらに視線が鋭くなる。
なるほどね。
大森くんもきっと彼に何かしら惹かれているのかと、
未だ俺のそばから離れようとしない星崎くんを見ながら確信した。
きっと友人の一人くらいにしか、
思われていないのは薄々気付いていた。
「じゃあ、
また後でね」
「はい!」
元気のいい返事が返ってきた。
その後ろで悔しそうに表情を歪める大森くんになど、
彼はまるで気付いていないだろう。
星崎くんが心の拠り所として俺を選んでくれている今はね。
雫騎の雑談コーナー
短いわ!!!
というクレームは何卒ご勘弁をくださいませ。
節目の10話なのに、
あれ書きたい、
これも書きたいと構想を練っていたわりに、
まとめてみるとたったの十数行のみ。
流石に読み応えが無さすぎて、
知恵を絞って文字数を増やした結果、
時系列を遡らないと書けないという、
ぐっだぐっだの駄作に成り下がってしまいました。
俺の表現力は一体どこに失踪したんだ!?