テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夜。
リビングには、静かな空気が流れていた。
テレビはついているけど、誰もちゃんと見ていない。
「……」
それぞれが、どこか落ち着かない様子だった。
「ねぇ」
ゆあんくんが、小さく声を出す。
「また来ると思う?」
その一言。
「……」
空気が少し重くなる。
「……どうだろうね」
のあさんが、やんわりと答える。
「でも、ちょっと怖いよね」
「……」
ヒロくんは黙ったまま。
考えている。
「……来るよ」
ぽつりと、うりが言った。
「……え?」
ゆあんくんが驚く。
「なんで分かるの?」
「……」
少しだけ間を置いて。
「そういうもんだから」
曖昧な答え。
でも、その目は——
確信していた。
「……」
ヒロくんが、静かにうりを見る。
(やっぱり)
何か知っている。
「……」
その時。
「……」
もふくんが、立ち上がった。
「もふくん?」
のあさんが声をかける。
「ちょっと外行ってくる」
「え、今?」
「すぐ戻るよ」
優しく笑う。
でも。
その目は、笑っていなかった。
―――
外。
夜の空気は、静かで冷たい。
「……出てきなよ」
もふくんが、小さく言う。
その瞬間。
「……やっぱ気づいてたか」
暗がりから、あの男が現れる。
「何の用?」
もふくんの声は、静かだった。
「挨拶だよ」
男が笑う。
「久しぶりだな、“無敗”」
その呼び方。
「……」
もふくんの表情が、わずかに変わる。
「その呼び方、やめて」
低い声。
「は?なんでだよ」
男がニヤつく。
「事実だろ?」
「……」
沈黙。
「……関係ないでしょ、今は」
はっきりと言う。
「もう終わってる」
「終わってねぇよ」
即答。
「お前らがいなくなっただけで、全部そのままだ」
一歩、近づく。
「むしろ荒れてるくらいだ」
その言葉。
「……」
もふくんは、目を逸らさない。
「……だから?」
「戻ってこいよ」
男が笑う。
「お前らがいねぇとつまんねぇんだよ」
その誘い。
「……」
一瞬の沈黙。
そして。
「……戻らない」
はっきりと言う。
「もう関わらないって決めた」
静かな決意。
「……」
男は、少しだけ黙る。
そして。
「……それ、本気で言ってる?」
低い声。
「……」
「仲間巻き込まれても?」
その一言。
「……!」
空気が、一瞬で変わる。
「やめて」
もふくんの声が低くなる。
「関係ないでしょ」
「関係あるだろ」
男が笑う。
「お前らといる時点でな」
「……」
言い返せない。
「……」
拳が、わずかに握られる。
でも。
「……それでも」
絞り出すように言う。
「戻らない」
強く。
はっきりと。
「……はは」
男が笑う。
「いいねぇ」
「その意地」
一歩、下がる。
「じゃあ楽しみにしてるわ」
「……」
「どこまで守れるか」
その一言を残して。
闇の中に消えていった。
―――
「……はぁ」
小さく息を吐く。
「……」
分かっていた。
こうなることは。
「……それでも」
小さく呟く。
「守るって決めたから」
その目は——
静かに、強くなっていた。
29
32,829