テラーノベル
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ザー、ザー、と、雨が地面に打ち付ける。
『〇〇市全域に 大雨警報が 発令されたました』
無機質な声が辺りに響き、着いた溜息も雨粒に吸い込まれながら足早に家へと向かう。
梅雨って嫌い。
どんよりするし、髪は跳ねるし。
心の中で毒づく。
しかし雨が止まる訳では無く、俺はカバンを持ち直した。
原西海斗という人間はこういう時化けの皮が剥がれるなぁなんて客観視しながら柵が立てられた海沿いの崖の前を通り過ぎようとして、目を疑った。
崖の前のベンチに傘をささず、かといって上着のフードすら頭に被っていない、一風変わった綺麗な黒髪の青年がいた。
「えぇ…」
声を漏らす。無視したって、人としての尊厳は脅かされないだろう。
だって例えば失恋とかだったら変に他人が声をかけても申し訳ないし。
それでもなんだか目が離せず、結局俺は近寄り声をかけた。
「傘、貸そうか?」
青年はこちらをゆっくりと向き、首を横に振った。きらりと光った赤い瞳が美しい。
「どうして?」
青年は答える。
「俺、雨男なんだ」
それ、理由になるのかな。不思議に思ったけど、特に人の心に踏み込む気はないのでそのままそこを去った。
やっぱ声掛けないのが最善だったかな、なんてちょっぴり後悔しながら。
翌日の夕方、やっと一旦雨は止んだ。
あのベンチは俺の登下校の道にあるから、今日も当然通る。
朝の時点ですでに彼はいなかったけど…。
俺は時計を見る。17時15分。
俺は大体18時に家に着いていればいい。
「……ちょっと時間あるな」
俺は何となく、本当になんとなく、ベンチに足を運んでみた。
そういえば、なんでこんな崖の上にベンチなんて作ったんだろう。
よっこらせ、と腰を下ろそうとしたところでやっと異変に気づく。
なんだろう、ベンチに黒く滲んだ──。
「……血?」
脳裏に一瞬彼が浮かぶ。ゾッとした。
コメント
1件
おお、これミステリータッチのやつだ!めっちゃ気になる…。雨のベンチに座る青年の「俺、雨男なんだ」って台詞がすごく印象に残った。次の日にベンチに血痕…この伏線の張り方、めちゃくちゃ刺さるわ。続き読みたい!
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